ミズーリ妥協(読み)ミズーリだきょう(その他表記)Missouri Compromise

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミズーリ妥協」の意味・わかりやすい解説

ミズーリ妥協
ミズーリだきょう
Missouri Compromise

アメリカのミズーリ准州とメーンが州として連邦への加入を申請した際,1820年のアメリカ連邦議会で激論の末,通過した妥協案。 19年ミズーリは奴隷制度を存続させたまま連邦への加入を申請した。これに対し,従来 11対 11の自由州と奴隷州のバランスがくずれ,各州2名から構成される上院で奴隷州が有利になることを恐れた奴隷制反対派の議員から異議が唱えられ,ミズーリの奴隷州としての加入を認めるか否かの大論争が起った。 20年3月3日下院議長 H.クレーの提案によりメーンを自由州として,ミズーリを奴隷州として連邦への加入を承認するが,今後ミズーリの南境,北緯 36°30′以北の地域には奴隷制を認めない,という妥協案が成立した。このミズーリ妥協は奴隷制をめぐる南北間の対立の本質的な解決策とはならず,54年カンザス=ネブラスカ法制定によって廃棄され,57年のドレッド・スコット判決では,財産権を不当に侵害する憲法違反とされた。

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