日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ミーノ・ダ・フィエーゾレ
みーのだふぃえーぞれ
Mino da Fiesole
(1429―1484)
イタリアの彫刻家。パピアーノ生まれ(フィエーゾレ出身とするバザーリの記述は誤り)。彼が師事した芸術家については不明だが、柔らかい輪郭線による造形と甘美な表情を特徴とする「聖母子」の浮彫り(代表作はニューヨークのメトロポリタン美術館蔵)は、アントニオ・ロッセリーノの影響を示す。しかし、彼が得意とした墓碑彫刻(代表作『ウーゴ伯の墓碑』1481完成、フィレンツェ、バディア聖堂)の簡潔なデザインは、彼が建築家(おそらくミケロッツォ・ディ・バルトロメオ)の工房で修業を始めたと考えさせる。フィレンツェのほか、ローマでも教会内部の墓碑造営に携わった。また、『ディオティサルビ・ネローニの胸像』(1464、ルーブル美術館)など肖像彫刻に優れ、とくに『ピエロ・ディ・メディチの胸像』(1453、バルジェッロ国立美術館)は、今日知られるルネサンス期の肖像彫刻としてもっとも早い作例である。
[上村清雄]