バルトロメオ(読み)ばるとろめお(その他表記)Fra Bartolommeo

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルトロメオ」の意味・わかりやすい解説

バルトロメオ
ばるとろめお
Fra Bartolommeo
(1472―1517)

イタリア盛期ルネサンスのフィレンツェ派画家。本名Baccio della Porta。ソッフィニャーノに生まれ、1485年からコジモ・ロッセッリの工房で徒弟奉公を始める。ボルテッラ大聖堂の『受胎告知』は、同じ工房にいた画家マリオット・アルベルティネッリとの共同制作による作品と考えられている。サボナローラ影響を強く受け、その焚刑(ふんけい)後の1500年、ドミニコ修道会に入籍し、しばらく絵画制作を中断するが、04年『聖ベルナルドゥスの幻想』(ウフィツィ美術館)でふたたび筆をとることになる。08年のベネチア旅行後は、レオナルド・ダ・ビンチミケランジェロラファエッロフィレンツェから離れていたこともあり、指導的な画家としての地位を得る。12年の『聖女カタリナの結婚』(フィレンツェ、アカデミア美術館)では、単純化されたモニュメンタルな建築、均衡のとれた人物配置、スフマート技法の応用によって荘重な様式が確立されている。14年には短期間ながらローマを訪れ、バチカンのミケランジェロやラファエッロのフレスコ画を研究。パラッツォ・ピッティにある『福音(ふくいん)記者聖ヨハネ』には、前者の描いた預言者像からの影響がみいだされる。フィレンツェに没。

[小針由紀隆]

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改訂新版 世界大百科事典 「バルトロメオ」の意味・わかりやすい解説

バルトロメオ
Fra Bartolomeo
生没年:1475ころ-1517

イタリア・ルネサンスの画家。Bartolommeoともつづる。本名バッチョ・デラ・ポルタBaccio della Porta。フィレンツェ生れ。ロッセリCosimo Rosselliのもとで修業し,1493年ころ同門のM.アルベルティネリと共同の工房を持つ。ロッセリとペルジーノの影響を受け,フィレンツェの伝統的な宗教画のスタイルを実践したが,サボナローラに傾倒し1500年ドミニコ会修道士となり,〈フラFra〉(〈修道士〉の意)を付して呼ばれるようになった。16世紀に入り,とくに1514年にローマを訪れてのちは,ミケランジェロ,レオナルド・ダ・ビンチ,ラファエロなどの古典様式に感化され,15世紀風の細密さとフィレンツェ的優美に古典的偉大さが加わり,のちに初期バロックが試みるような伝統的であり,しかも古典的である近代的な宗教祭壇画の範例を作った。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルトロメオ」の意味・わかりやすい解説

バルトロメオ
Bartolomeo, Fra

[生]1472.3.28. ソッフィニャーノ
[没]1517.10.31. フィレンツェ
イタリアのフィレンツェ派の画家。本名 Baccio della Porta。 1484年以来 C.ロッセリに師事。サボナローラの影響を強く受け,彼の焚刑後の 1500年にドミニコ会の修道士となり,数年間絵筆をとらなかった。『聖ベルナルドの幻想』 (1504,フィレンツェ・アカデミア美術館) により画壇に復帰。レオナルド・ダ・ビンチの手法に深く魅せられ,スフマートの技法を生かしながら温雅な画風を繰広げた。 08年のベネチア旅行後,『二聖者と聖母子』 (09,ルッカ市立絵画館) では,ベネチア派の輝く色彩を採用し,明暗対比も強めてくる。そして,『カタリナの結婚』 (12,ウフィツィ美術館,ルーブル美術館) のように,すぐれた人像構成と光の繊細な取扱いを通して荘重な画風を完成した。 14年にはローマに出てミケランジェロやラファエロを研究するが,その成果は最晩年の『ピエタ』 (16~17,パラッツォ・ピッティ,彼の死後ブジアルディーニが完成) などに現れている。

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百科事典マイペディア 「バルトロメオ」の意味・わかりやすい解説

バルトロメオ

イタリアのフィレンツェ派の画家。本名バッチョ・デラ・ポルタBaccio della Porta。ペルジーノの弟子として出発し,初期には世俗的な作品が多いが,サボナローラの影響を受けてから宗教画に専念。1500年ドメニコ会士となり,〈フラ Fra〉(〈修道士〉の意)を付して呼ばれた。単純明快な線描と,人物の荘重な動きを特色とし,ミケランジェロ流の力強い彫塑性にも富む。代表作に《聖カタリナの神秘の結婚》(1512年,フィレンツェ,アカデミア美術館蔵)《ピエタ》(1516年,フィレンツェ,ピッティ美術館)などがある。

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