改訂新版 世界大百科事典 「メリルリンチ会社」の意味・わかりやすい解説
メリル・リンチ[会社]
Merrill Lynch & Co., Inc.
アメリカの金融コングロマリットの持株会社で,傘下には世界最大の証券会社Merrill Lynch,Pierce,Fenner & Smith Inc.をはじめ保険,不動産,不動産金融などの子会社を有する。本社ニューヨーク。1914年メリルCharles Edward Merrill(1885-1956)がニューヨークにCharles E.Merrill & Co.を設立し,翌年リンチEdmund Calvert Lynch(1885-1938)をパートナーに迎え,社名をMerrill Lynch & Co.とした。チェーン・ストア,自動車,映画など新興の成長産業への積極的な投資と一般投資家向けの証券販売で発展を続けた。しかし大恐慌後の投資家の証券離れのため30年支店と証券販売部門をピアース社E.A.Pierce & Co.(アメリカ最大の支店網を有する証券ブローカー。1820設立)に売却するなど事業を縮小した。その後40年に証券業整備の諸法が制定されると,同年ピアース社から買い戻し,41年にはフェナー・アンド・ビーン社(ピアース社に次ぐ大手の証券ブローカーで,かつアメリカ最大の商品仲買会社。1905設立)を吸収して,本格的に大衆向け証券販売に乗り出した。その後の証券大量発行時代を通じ急成長し,60年代には旧来の投資銀行に加え証券引受会社としての地位を高めた。60年代から70年代にかけて不動産金融会社,投資顧問会社,生命保険会社などを吸収して総合金融会社へと進み,73年には持株会社となり現在の社名となった。総収入325億ドル(2004年12月期)。
執筆者:佐久間 裕秋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報