モサラベ聖歌(読み)モサラベセイカ(英語表記)Mozarabic chant

デジタル大辞泉 「モサラベ聖歌」の意味・読み・例文・類語

モサラベ‐せいか【モサラベ聖歌】

6~11世紀、トレド中心としてスペインカトリック教会で行われた典礼聖歌。

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精選版 日本国語大辞典 「モサラベ聖歌」の意味・読み・例文・類語

モサラベ‐せいか【モサラベ聖歌】

  1. スペインで行なわれたカトリック教の単声典礼聖歌。特にモサラベの間で行なわれた。モサラブ‐チャントとも。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モサラベ聖歌」の意味・わかりやすい解説

モサラベ聖歌
モサラベせいか
Mozarabic chant

中世スペインのカトリック教会の単声典礼聖歌。グレゴリオ聖歌とは違った地方的特色を示す。名称はイスラム支配下のスペインで,キリスト教徒をモサラベと呼んだことに由来するが,実際にはイスラム支配下以前のビシゴート時代からあったため,ビシゴート聖歌とも呼ばれる。最も重要な部分はミサ聖務日課のための交唱で,11世紀まで独自の伝統を保ったが,その後ローマ式典礼に併合された。9~11世紀の写本が残されているが,普通とは違ったネウマで記譜されているため,完全には解読されていない。

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世界大百科事典(旧版)内のモサラベ聖歌の言及

【スペイン音楽】より


[芸術音楽]
 最初に重要な表れとしては〈モサラベ聖歌〉が挙げられる。これは6~7世紀,西ゴート王国時代に形成された独特なキリスト教聖歌で,つづくイベリア半島イスラム化の時代(8世紀以降)にも多くのキリスト教徒(モサラベ)によって支持されたが,11世紀ごろローマ教会の勢力拡大とともに衰亡した。…

【中世音楽】より

…ローマに教皇庁ができてからも,グレゴリウス1世らの尽力を契機として,典礼聖歌の体系がつくり上げられていった。ローマ式典礼聖歌が確立したあとは,フランク王ピピン3世やカール大帝の政策などにもよって,フランスのガリア聖歌,スペインのモサラベ聖歌などの地方的な諸体系は消滅したが,ミラノ式典礼聖歌だけは,アンブロシウス聖歌の名で今日まで伝えられてきた。今日グレゴリオ聖歌の名で知られているローマ・カトリック教会の単旋律の典礼聖歌は,ルネサンス時代の反宗教改革の波の中で整理されたもので,中世の何世紀ものあいだに創作され改変された歌の集大成であり,地中海沿岸起源の歌よりも,フランク・ゲルマン起源の歌が多いのではないかと考えられている。…

※「モサラベ聖歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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