聖務日課(読み)せいむにっか(英語表記)officium divinum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「聖務日課」の意味・わかりやすい解説

聖務日課
せいむにっか
officium divinum

種々のキリスト教会において,賛美礼拝の公の行為をいい,『詩篇』からの抜粋賛歌祈祷および初期教会の教父の著作その他の書の抜粋の朗読より成る。昼夜の特定の時刻に行われるこの行為は,キリスト教団の生活を聖化するためであり,また教会の公の祈祷としては,司祭キリストの天父に対する賛美の延長と考えられ,聖職者,修道者の特別な任務とされている。たとえば,ローマ・カトリックでは,朝課 (夜半) ,讃課 (夜明け) ,一時課 (早朝) ,三時課 (午前9時) ,六時課 (12時) ,九時課 (午後3時) ,晩課 (夕) ,終課 (夜) の8時祷があった。音楽的には晩課が最も壮麗で,多声部合唱,楽器が参加することもある。またマニフィカトなどに大作曲家の作品も少くない。

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世界大百科事典(旧版)内の聖務日課の言及

【時課】より

…キリスト教の典礼の一つ。〈時禱canonical hours〉〈聖務日課divine office〉とも呼ばれてきたが,現代では〈教会の祈り〉といわれる。聖書によれば,旧約時代から朝晩をはじめ,一定の時刻に一日に何回か祈る習慣があり(《詩篇》55:18など),キリストもたびたび祈り(《マルコによる福音書》6:46など),弟子たちも一定の時刻に祈るようになった(《使徒行伝》2:15,3:1,10:9など)。…

【修道院】より

…夏期と冬期の間には四旬節というキリストの荒野における40日間の苦行を記念する特別期間が置かれている。1日の生活は,昼と夜をそれぞれ12区分した時間にもとづき,1日8回の聖務日課(時課),すなわち暁課,朝課,一時課,三時課,六時課,九時課,晩課,終課が定められている。一時課とは昼の第一時に始まる日課をいう。…

※「聖務日課」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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