ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モスタールト」の意味・わかりやすい解説
モスタールト
Mostaert, Jan
[没]1555/1556
オランダの画家。肖像画,宗教画を主とした。おそらくヘールトヘン・トット・シント・ヤンスと親交があって,少なからず彼の影響を受けている。モスタールトの一生については多くは知られていないが,ある文献によると,18年間ネーデルラントの摂政,オーストリアのマルガレーテ・フォン・エステルライヒに画家として仕え,彼女の旅行に同伴して,まわりの廷臣たちの肖像画を制作したといわれる。また生地ハールレムで活躍したともいわれる。フランドルの画家(→フランドル美術)と同期であったにもかかわらず,作風は従来のオランダ画家のものを保持し,構図が客観的で,色彩が華やか,細部の描写は精確さをきわめている。おもな作品に祭壇画の『キリストの降架』(ベルギー王立美術館)がある。
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