日本大百科全書(ニッポニカ) 「モモノゴマダラノメイガ」の意味・わかりやすい解説
モモノゴマダラノメイガ
もものごまだらのめいが / 桃胡麻斑野螟蛾
[学] Conogethes punctiferalis
昆虫綱鱗翅(りんし)目メイガ科に属するガ。モモノメイガ、ゴマダラノメイガともよばれる。はねの開張20~25ミリメートル。体、翅とも橙(だいだい)色を帯びた黄色で、はねには黒点を散布し、横線は黒点を連ねたような形で、鋸歯(きょし)状に屈曲する。尾端の毛束は黒い。本州以西、琉球(りゅうきゅう)諸島の各地、台湾、中国から東南アジアに広く分布する。幼虫はクリ、モモ、リンゴ、ナシ、ミカンなど各種の果実に食入する大害虫である。体長20ミリメートル内外。頭部は黒褐色、胴部は緑色を帯びた黄褐色、背面は赤色を帯びる。年2、3回の発生で、幼虫態で越冬する。第1化は春の終わりごろから出現し、夏の初めに老熟する。第2化は夏の終わりごろから果実に加害し、初めに老熟した幼虫はそのまま越冬するが、温暖地では3回の発生をみる。幼虫の入った果実には食入口から糞(ふん)を出すので見分けられる。かつては針葉樹にも寄生するとされたが、これは近縁の別種マツノゴマダラノメイガである。
[井上 寛]