日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤストレムスキー」の意味・わかりやすい解説
ヤストレムスキー
やすとれむすきー
Carl Michael Yastrzemski
(1939― )
アメリカのプロ野球選手(右投左打)。大リーグ(メジャー・リーグ)のボストン・レッドソックスでおもに外野手としてプレー。レッドソックス一筋でプレーして「ヤズ」の愛称で親しまれた。彼以後、2007年まで三冠王が現れず、「最後の三冠王」でもある。
8月22日、ニューヨーク州サザンプトンで生まれる。1958年、レッドソックスに入団。プロ1年目の1959年から好打者としての片鱗(へんりん)をのぞかせ、3割7分7厘の高打率で首位打者を獲得し、マイナー・リーグのカロライナ・リーグで最優秀選手(MVP)となった。1960年もマイナーのアメリカン・アソシエーションでリーグ最多安打193を打った。1961年大リーグに昇格したが、前年限りで大打者テッド・ウイリアムズが引退していたために、その後継者と目され、出場148試合のうち守備についた147試合のすべてでウイリアムズが守っていた左翼に起用された。1963年には打率3割2分1厘で首位打者を獲得した。1967年は、打率3割2分6厘、ホームラン44本、打点121で三冠王を獲得。チームをリーグ優勝に導き、MVPに選ばれた。翌68年も打率3割1厘で首位打者となった。これは、大リーグ史上最低の数字での首位打者獲得であった。1970年代はタイトルを獲得することはできなかったが、リーグ優勝した75年にはプレーオフで打率4割5分5厘、チームは敗れたもののシンシナティ・レッズとのワールド・シリーズでも打率3割1分を打ち、好打健在を印象づけた。1980年代に入ると衰えが目だち始め、83年限りで引退した。
23年間の通算成績は、出場試合3308、安打3419、打率2割8分5厘、本塁打452、打点1844。獲得したおもなタイトルは、首位打者3回、最多安打2回、本塁打王1回、打点王1回、MVP1回、ゴールドグラブ賞7回。1989年に野球殿堂入り。
[山下 健]