大リーグ(読み)ダイリーグ(英語表記)Major League

デジタル大辞泉 「大リーグ」の意味・読み・例文・類語

だい‐リーグ【大リーグ】

メジャーリーグ

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精選版 日本国語大辞典 「大リーグ」の意味・読み・例文・類語

だい‐リーグ【大リーグ】

  1. 〘 名詞 〙 ( リーグは[英語] league ) 米国のプロ野球リーグの総称。ナショナルリーグ一六チーム、アメリカンリーグ一四チームで構成される。メジャーリーグ。〔日本野球史(1929)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大リーグ」の意味・わかりやすい解説

大リーグ
だいりーぐ
Major League

アメリカのプロ野球における最上位のリーグ。メジャー・リーグ、MLB(Major League Baseball)ともいう。ナショナル・リーグアメリカン・リーグで構成される。

[福島良一 2024年5月17日]

プロチーム誕生までの歴史

1845年、ニューヨークの銀行員であり、ボランティアの消防団員でもあったアレクサンダー・カートライトAlexander Cartwright(1820―1892)によって、現在のゲームの原型となる野球規則が制定された。そして、そのカートライトが最初の野球チーム、「ニッカーボッカーズ」を結成、翌1846年6月19日にニュー・ジャージー州ホボーケンのエリジアン・フィールドで初めて野球規則に基づいて試合を行い、人気を博した。

 その後、初の野球記者ヘンリー・チャドウィックHenry Chadwick(1824―1908)がボックススコア(新聞紙上で試合ごとに選手の個人記録を詳細に示す成績表。両チームの得点経過のみを示すものはラインスコアとよばれる)を考案し、新聞に野球コラムを掲載した。それによって、野球のプレーを容易にイメージすることができるようになり、興味をもつ人がしだいに増えていった。また、大衆の人気と比例してチーム数も急増していった。試合ごとに多くの観衆が入場するのをみてとり、球団関係者はゲームに必要な経費を観客に入場料として課し、球場施設を完備して、よい野球用具を用意し、選手たちに給料を支払えば、さらにすばらしい試合をみせることができるのではないかと考えた。当時、すでに一般大衆は野球観戦に喜んで入場料を支払うほど、ゲームの魅力に取りつかれていたのである。

 こうして、1869年に最初のプロ野球チームとして、「シンシナティ・レッドストッキングス」が誕生。かつて「ニッカーボッカーズ」に所属し、母国イギリスではクリケットの名選手だったハリー・ライトWilliam Henry “Harry” Wright(1835―1895)が監督兼中堅手になった。この年レッドストッキングスは全米各地へ遠征し、地元のアマチュア野球チームと対戦、翌1870年にかけて81連勝し、圧倒的な強さを誇った。その後、レッドストッキングスは財政上の理由から解散へと追い込まれたが、人々に強い印象を残し、各都市にプロ野球チームが次々と誕生する下地をつくった。

[福島良一 2024年5月17日]

大リーグ創設

1871年に最初のプロ野球リーグ、ナショナル・アソシエーションが9球団で創設された。同リーグは、もめ事や不正事件などのためわずか5年で消滅したが、1876年2月にニューヨークなど大都市を背景として、試合の管理を強化し、ゲームの品位を維持するとともに、収益の確保を目的とした新しいプロ野球リーグ、ナショナル・リーグ(ナ・リーグ)が誕生した。ナ・リーグは8球団で構成され、それに参加できず、取り残された他の多くの球団はインターナショナル・リーグ、アメリカン・アソシエーションなどのリーグを結成した。これらがマイナー・リーグの元祖であるが、ナ・リーグの実力と権威は他のリーグを引き離し、ついにメジャー・リーグ(大リーグ)とよばれるようになった。

[福島良一 2024年5月17日]

2リーグ制スタート

結成後しばらくすると、ナ・リーグは観客の減少、選手たちの不満、組織内の不調和など、さまざまな問題を抱え、危機的な状況を迎えた。一方で、1892年に元新聞記者のバン・ジョンソンByron Bancroft “Ban” Johnson(1865―1931)が中心となり、ウェスタン・リーグを結成。当時はマイナー・リーグの一つにすぎなかったが、ナ・リーグと同じようにアメリカ東部の都市に本拠地を設け、1900年に名称もアメリカン・リーグ(ア・リーグ)と改め、翌1901年にメジャー・リーグ宣言をし、自らその地位を主張した。それによって、前年まで12球団で組織されていたナ・リーグが8球団に戻り、新興のア・リーグも8球団でスタート。ここに二大リーグ時代を迎えた。

 ア・リーグの創設にあたって、最初のうちナ・リーグはまったく協調せず、また主力選手たちの引き抜きも行われたため、大リーグ球界は混乱した。しかし、ア・リーグの発展をみるにつけ、結局は争いの愚を悟り、両リーグ共存の道をとるようになった。その結果、1903年にナショナル・コミッションができ、両リーグから委員が選ばれ、球界一般の指針となるような諸規則や申合せを決定したので、野球界は安定的に発展するための基礎を得た。また、シーズン終了後に両リーグの優勝チームどうしが対戦し、真の優勝チームを決めるワールド・シリーズが実現した。それによって、野球はふたたび活気を取り戻し、1905年以降毎年開催されるようになった(1994年は選手会ストライキのため中止)。

 ナ・リーグ創設当時は、強豪チームのほとんどがその傘下に集まっていたが、のちにア・リーグが組織されるに及んで、大都市に本拠をもち、名実ともに備わったチームのすべてが両リーグに集中し、それ以外の球団は実際に実力が低いものとなってしまった。両リーグ以外のマイナー・リーグはアメリカの中小都市に本拠を置き、実力順にAAA、AA、A、B、C、Dの6階級に分かれ、その後AAA、AA、A、ルーキー・リーグの4階級に縮小された。

[福島良一 2024年5月17日]

名プレーヤーの登場

アメリカで野球が「ナショナル・パスタイム」(国民的娯楽)とよばれ、大リーグがアメリカ最大のプロスポーツとして発展するまでには、さまざまなできごとがあった。

 まず、1919年にワールド・シリーズで八百長(やおちょう)事件が起こった。その年、ワールド・シリーズはシカゴ・ホワイトソックスとシンシナティ・レッズの対戦となり、ア・リーグ優勝のホワイトソックスが圧倒的に有利といわれた。しかし、意外にもナ・リーグ優勝のレッズに3勝5敗で敗退した(1903年、1919~1921年のシリーズは9回戦制で実施)。初代コミッショナーのケネソー・マウンテン・ランディスが、疑惑の選手をいずれも証拠不十分で無罪とした裁判所による判決とは関係なく、球界浄化のため、ホワイトソックスの外野手、シューレス・ジョー・ジャクソンをはじめ、主力8選手に対し、八百長事件に関与したとして、球界から永久追放処分とする裁定を下した。世にいう「ブラックソックス事件」である。

 この大リーグ史上最大の汚点ともいうべき事件によって、アメリカの国民的娯楽であるはずの大リーグは社会的な信用を失い、観客動員数も激減していった。しかし、その名誉を回復させたのが、のちに国民的ヒーローとなるベーブ・ルースであった。1920年にボストン・レッドソックスからニューヨーク・ヤンキースへ移籍し、投打の二刀流から打者に専念した。それ以来、ルースは豪快なホームランを量産した。それまでの「飛ばないボール」の時代には見たこともない大きな飛距離の打球にファンは熱狂し、大リーグは華やかになり、黄金時代を迎えることになった。

 第二次世界大戦が終わって、1947年に20世紀初の黒人選手として、ジャッキー・ロビンソンが登場した。彼がブルックリン・ドジャース(現、ロサンゼルス・ドジャース)の選手として人種の壁を破って活躍したことで、それまで社会の底辺で苦しい生活を続けていた人々に大きな勇気を与えた。これによって大リーグは黒人選手たちに門戸を開き、黒人だけのリーグから優秀な選手たちが次々に大リーグの世界に入っていった。こうして、大リーグは国籍や人種、ことばの壁を越えて、だれもが実力さえあればプレーできる時代をむかえ、中南米諸国をはじめ、いろいろな国々から一流プレーヤーたちが参加するようになった。

[福島良一 2024年5月17日]

フランチャイズの拡大

1940年代には、まだ大リーグ各球団の本拠地はアメリカ東部から中部に密集しており、最西部でミシシッピ川流域のセントルイスまでだった。1950年代に入って飛行機など交通機関が発達してくると、チームの本拠地移転ラッシュが始まった。まず、1953年にボストン・ブレーブス(現、アトランタ・ブレーブス)がミルウォーキーへ移転して大成功を収めると、翌1954年にセントルイス・ブラウンズ(現、ボルティモア・オリオールズ)がボルティモアへ、1955年にフィラデルフィアアスレチックス(現、オークランド・アスレチックス)がカンザス・シティへと相次いで移転した。そして、1958年にブルックリン・ドジャースとニューヨーク・ジャイアンツ(現、サンフランシスコ・ジャイアンツ)がロサンゼルスとサンフランシスコへとそれぞれ大陸を横断し、アメリカ全土へとフランチャイズが広がった。

 本拠地移転によって人気が定着し始めると、1960年代からは従来の8球団ずつから球団数を拡張する、いわゆるエクスパンションの時代を迎えた。まず、1961年にア・リーグ、1962年にナ・リーグが2球団ずつ増えて各10球団、1969年に両リーグとも2球団ずつ増えて各12球団となり、同時に東西2地区制を採用した。さらに1977年にア・リーグ、1993年にナ・リーグが2球団ずつ増えて各14球団となり、1994年から東中西の3地区に再編成された。そして、1998年にア、ナ両リーグとも1球団ずつ増やし、同時にミルウォーキー・ブリュワーズがア・リーグからナ・リーグへ移動した。それによって、ア・リーグが14球団、ナ・リーグが16球団となり、両リーグあわせて30球団、さらに2013年ヒューストン・アストロズがナ・リーグからア・リーグに移行。両リーグとも15球団ずつに再編成された。

 大リーグでは球団数拡張の過程において、1969年に史上初めてアメリカ合衆国以外のカナダに本拠地を置くチームとして、モントリオール・エクスポズ(現、ワシントン・ナショナルズ)が誕生。続いて、1977年にはトロント・ブルージェイズも誕生し、国際的なスケールへと発展していった。

[福島良一 2024年5月17日]

シーズンの日程

大リーグは例年3月下旬にシーズンが開幕し、9月下旬まで27週間にわたってペナントレースが繰り広げられる。その期間に各球団は162試合を行い、ホーム、ロードで81試合ずつを消化する。また、7月上旬には各球団の持ち回りで、オールスター・ゲームが1試合だけ行われる。

 両リーグとも同一地区だけでなく、各地区のチームとも公式戦を行う。さらに、1997年からインターリーグも始まり、両リーグ間の交流試合を初めて公式戦として開催。2023年からは交流戦が大幅に増加し、全球団と対戦するようになった。

 また、1996年に大リーグ史上初めてアメリカ合衆国およびカナダ以外のメキシコ(モンテレー)で公式戦が行われた。2000年(平成12)には初めて日本(東京ドーム)で公式戦が行われ、2014年にオーストラリア(シドニー)、2019年にはイギリス(ロンドン)、2024年は韓国(ソウル)で初の公式戦を開催。「ワールドツアー」と銘打って、世界各地で試合が行われるようになった。

 毎年10月になるとプレーオフ、そしてワールド・シリーズが行われる。まずは両リーグとも東、中、西各地区の優勝チームと、それ以外に勝率上位3チーム、いわゆるワイルドカードの合計6チームでプレーオフが行われる。その対戦方式は、まずリーグごとにワイルドカード・シリーズ(3回戦制)を行い、勝ち上がったチームどうしがディビジョン(地区)シリーズ(5回戦制)に進出する。さらに勝ち上がったチームどうしがリーグチャンピオンシップ(リーグ優勝決定)シリーズ(7回戦制)を行う。そして、最後にワールド・シリーズ(7回戦制)が行われ、先に4勝したチームが優勝、文字どおり「世界一」の座につく。

[福島良一 2024年5月17日]

『ナショナルジオグラフィック著、椿正晴他訳『アメリカン・ベースボール』(2002・日経ナショナルジオグラフィック社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大リーグ」の意味・わかりやすい解説

大リーグ
だいリーグ
Major League Baseball; MLB

アメリカ合衆国カナダをまたぐプロ野球チームによる最上位のリーグ。メジャーリーグベースボール,あるいは単にメジャーリーグ,ビッグリーグともいう。1876年ニューヨークなどの都市の 8球団が創設したナショナルリーグと,1901年に 8球団で発足したアメリカンリーグの二大リーグをさす。その後両リーグともに球団数が増加,2014年現在ナショナルリーグ 15球団,アメリカンリーグ 15球団で構成される。1994年以降,それまでの東西 2部制から両リーグともに東地区,中地区,西地区の 3地区制になった。リーグ戦によるレギュラーシーズンの成績の結果,勝ち試合数の最も多い地区優勝 3チームおよび,リーグ内で地区優勝チームを除いて勝率の高い上位 2チーム(ワイルドカード)同士が戦う 1試合のワイルドカードゲームの勝者の計 4チームが,リーグ優勝をかけてプレーオフトーナメントに進出し,リーグ優勝を決定する。両リーグの優勝チームはワールドシリーズで対戦し,年間王者を決定する。(→野球

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知恵蔵 「大リーグ」の解説

大リーグ

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百科事典マイペディア 「大リーグ」の意味・わかりやすい解説

大リーグ【だいリーグ】

プロ野球

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世界大百科事典(旧版)内の大リーグの言及

【アメリカ大リーグ】より

…アメリカ合衆国のプロ野球組織の頂点にはメジャー・リーグmajor league(大リーグ)があり,それは,アメリカン・リーグ(1900年創立,略称ア・リーグ)14,ナショナル・リーグ(1876年創立,略称ナ・リーグ)16の計30球団によって構成されている。 ア・リーグ,ナ・リーグともそれぞれ東部・中部・西部の3地区に分かれ,1シーズンのリーグ戦を戦う。…

※「大リーグ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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