日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマトマダニ」の意味・わかりやすい解説
ヤマトマダニ
やまとまだに / 大和真蜱
[学] Ixodes ovatus
節足動物門クモ形綱ダニ目マダニ科マダニ属の吸血性のダニ。未吸血雌の体長は3ミリメートルほどで黄褐色を呈し、吸血すると8ミリメートルほどに膨らむ。雄は3ミリメートル以下で褐色の背甲板で覆われ、吸血しない。屋久島(やくしま)以北の日本全土に分布し、春から初夏に多く出現するもっとも普通のダニ。朝鮮半島、中国、ミャンマー(ビルマ)、ネパールにも分布し、幼若期はノネズミなど小形哺乳(ほにゅう)類に、成虫は大形哺乳類やヤマドリなどきわめて多くの動物に寄生する。キチマダニと同様に、ノウサギの間に野兎(やと)病を媒介する。ヒトの顔面、とくに眼瞼(がんけん)に食いつくことがある。かつて単にマダニともよばれた。
[山口 昇]