やわら紙(読み)やわらがみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「やわら紙」の意味・わかりやすい解説

やわら紙
やわらがみ

大和(やまと)国(奈良県吉野で漉(す)かれた薄手の和紙。和良紙とも書く。室町時代初期から宮中女官たちに好まれ、女房詞(にょうぼうことば)で「やわやわ」といわれた。茶席の棚に常置されていたことなどが、当時の日記類に散見する。『七十一番歌合』に「忘らるる我身よいかにならがみの 薄き契(ちぎり)は結ばざりしを」とあるように、奈良紙と共通した紙名でもあった。

[町田誠之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android