よみ人しらず
よみびとしらず
勅撰(ちょくせん)和歌集や私撰和歌集で作者が不明であることを示す語。古代においては、一般人が恋歌を詠む際には手本にあわせて類想を類型的に表現するが、そうした恋歌の手本に相当する口承歌(褻(け)の歌の典型)や民謡的な歌が多数を占める。後の時代になると、実際に作者の判明しない歌のほかに、作者名を記載しても宮廷人の読者に理解されない身分の低い作者であったり、記載をはばかる勅勘を被った作者であったり、特定歌人の歌が多くなりすぎるのを避けたりする編集上の都合から、「よみ人しらず」と記すことも行われた。
[上野 理]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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