よみ人しらず(読み)よみびとしらず

日本大百科全書(ニッポニカ) 「よみ人しらず」の意味・わかりやすい解説

よみ人しらず
よみびとしらず

勅撰(ちょくせん)和歌集や私撰和歌集作者が不明であることを示す語。古代においては、一般人が恋歌を詠む際には手本にあわせて類想を類型的に表現するが、そうした恋歌の手本に相当する口承歌(褻(け)の歌の典型)や民謡的な歌が多数を占める。後の時代になると、実際に作者の判明しない歌のほかに、作者名を記載しても宮廷人の読者に理解されない身分の低い作者であったり、記載をはばかる勅勘を被った作者であったり、特定歌人の歌が多くなりすぎるのを避けたりする編集上の都合から、「よみ人しらず」と記すことも行われた。

上野 理]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android