デジタル大辞泉 「手本」の意味・読み・例文・類語
て‐ほん【手本】
2 見習うべき物事。模範。「友人宅を
[類語]模範・規範・モデル・典型・範・亀鑑・
絵や文字を習うとき模範とすべき書画およびそれをかいた本をさし,転じて物事を行うとき模範とすべきもの,見本とするものをいう。《源氏物語》梅枝巻に〈手本多くつどへたりし中に……〉の用例があるように,早くからこの語句が使われた。一般に書を学ぶとき,その時間の大半は臨書に費やされる。先生の手本や古典の名蹟を見て練習し,自運,創作への基礎とするのである。みずからの栄養源となるものであるから良い手本を習うにこしたことはなく,永年にわたり万人が認めた古典的名筆が選ばれる。中国では法とすべき書,法書というものが篆隷楷行草の各体にあって参考とされ,日本では古来,王羲之の書や隋唐の写経が模範とされ,日本書道の母胎となった。また日本の三筆,三蹟の書も手本にふさわしいもので,中・近世になると往来物(消息文)がおもな手本となり,手習いと同時に日常生活に必要な知識の学習に用いられ,さらに江戸時代の寺子屋では師が書き与える手本そのものが修身,歴史,作文など一般知識を習得する手本となった。なお中国では,〈手本〉は下級官史が上官に,あるいは門生が師に会うときに差し出す名刺の意で,書画の手本にあたるものは字帖,画帖という。
執筆者:角井 博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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