化学辞典 第2版 「ヨージル塩」の解説
ヨージル塩
ヨージルエン
iodyl salt
化学式から,IO2+を陽イオンまたは陽性基として含む塩.IO2+が完全に独立したイオン結晶ではなく,普通は陽イオン相互または陰,陽両イオン間の会合を含む.【Ⅰ】IO2SO3Fは,I2O5とHSO3Fとの反応で得られ,HSO3Fの溶液中でIO2+が解離して存在するが,希釈しても解離は完全ではない.固体中ではIO2+とSO3F-が橋かけ結合している.【Ⅱ】IO2HSO4,IO2SbF6,IO2AsF6なども陰,陽両イオンがクロスリンクしてつながっている.【Ⅲ】フッ化ヨージルには2種類ある.
(1)フッ化ヨージル(iodyl monofluoride):IO2F(177.90).I2O5のHF溶液に,F2 を通すると得られる.無色の固体.融点200 ℃ 以上(分解).HF中では [IO2F2]- を形成する.アルカリ水溶液では加水分解してIO3-と F- になる.[CAS 28633-62-7].
(2)三フッ化ヨージル(iodyl trifluoride):IO2F3(215.90).Ba(IO4)2,HSO3F,SO3間の反応から得られる.黄色の結晶.融点41 ℃.加水分解しにくいが,光分解してIOF3と O2 になる.[CAS 25402-50-0]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報