ラグビーの用語(読み)らぐびーのようご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラグビーの用語」の意味・わかりやすい解説

ラグビーの用語
らぐびーのようご

アクシデンタル・オフサイド accidental offside
 ボールまたはボールを持ったプレーヤーが、オフサイドにいる味方プレーヤーに偶然に触れる反則。反則した側が利益を得た場合は、その地点で相手ボールのスクラムになる。アンウィルフル・オフサイドunwillful offsideともいう。

アシスタント・レフェリー assistant referee
 タッチジャッジの役割に加え、レフェリーの指示に従いレフェリーを補佐するマッチ・オフィシャル。試合主催者が指名する。

アップ・アンド・アンダー up-and-under
 相手ディフェンスラインの背後に高いキックをあげ、ボールをふたたび支配して攻撃を継続しようとする戦法。

アドバンテージ advantage
 相手の反則により反則していない側が得る戦術的・地域的な利益。レフェリーは反則していない側が利益を得たとみなした場合、プレーを継続する。

イエローカード yellow card
 レフェリーが反則による一時退出をプレーヤーに命ずる際に示す黄色いカード。

インターセプト intercept
 相手のパスを途中で奪うこと。

オーバー・ザ・トップ over the top
 タックルのあとやラックでボールの上あるいはボールを越えて倒れ込むことで、相手側がボールをプレーするのを妨げること。相手側にペナルティキックが与えられる。

オフサイド offside
 プレーヤーがプレーできず、プレーをすると反則が適用される位置にいること。ボールを持っている味方プレーヤー、あるいは最後にプレーした味方プレーヤーの前方にいるそのチームのプレーヤーはオフサイドの位置となる。スクラム、ラインアウト、ラック、モール、タックルにおける定められたオフサイドラインを越えて犯した反則には、相手側にペナルティキックが与えられる。

オフ・ザ・ゲート off the gate
 タックルが成立した後にタックル地点に誤った方向から参加すること。相手側にペナルティキックが与えられる。タックルが成立すると、タックラーとタックルされたプレーヤーの一番外側の身体の部位を囲む四角い枠(タックルボックス)が想定され、その四角形の自陣側の一辺がゲートとみなされる。そのゲートからしかタックル地点には参加できない。

オブストラクション obstruction
 プレーしようとする相手プレーヤーの進路を遮るなど、不正にじゃまをしてプレーを妨げること。相手側にペナルティキックが与えられる。

オフロードパス off-lord pass
 タックルを受けながら行うパス。

オープンサイド open-side
 スクラムの位置からみて、タッチまでの間が広いほうのサイド。この逆はブラインドサイドblind-sideとよばれる。

カウンターアタック counter attack
 キックされたボールをキャッチして攻撃に転ずるなど、防御から一転して攻撃に移ること。

キックオフ kick-off
 試合の前・後半、延長戦がある場合はその前・後半の開始、および得点後、試合の再開のためにハーフウェイライン上の中央またはその後方から行われるドロップキック

キャリーバック carry-back
 防御側プレーヤーが味方のインゴールへボールを持ち込んでデッドになること。ゴール前5メートルの地点で相手側ボールのスクラムになる。

クイックスロー quick-throw
 ボールがタッチに出た際に、ラインアウトが形成される前にタッチからボールをフィールドに投入してプレーを再開させること。

グラウンディング grounding
 インゴールでプレーヤーが手または腕に持っているボールを地面につけること、および地上にあるボールを手、腕または首から腰の間の上半身で押さえること。

ゲインライン gain line
 スクラム、ラインアウト、ラック、モールの中心を通り、ゴールラインに平行な想定上のラインで、アドバンテージラインともいう。攻撃側がこのラインを越えてボールを持ち込むと前進したことになる。

攻撃側 attacking team
 競技規則ではボールの保持に関係なく「プレーが行われている地点が自陣にあるチームの相手側」と定義されているが、一般的にはスクラムやラインアウトにボールを投入したり、プレー中にボールを保持していたりする側を意味する。

コラプシング collapsing
 スクラムやモール、ラックを故意に崩すこと。相手側にペナルティキックが与えられる。

ゴール goal
 コンバージョンペナルティゴール、ドロップゴールの際に、ボールが蹴られて味方または地面に触れることなくクロスバーの上を越え、かつゴールポストの間を通過すること。それぞれ2点、3点、3点を得ることができる。

コンタクト contact
 相手とぶつかり合うこと。

コンバージョン conversion
 トライ後に追加の得点を得るために行われるキック。キックはプレースキックでもドロップキックでもよい。

サイドアタック side-attack
 スクラム、ラック、モールから出たボールを持ち、それらに近接した地域を攻撃すること。和製英語。

ジャージ jersey
 ラグビーの練習や試合で上半身に着用するシャツ。

ジャッカル jackal
 タックルされた相手プレーヤーのボールを奪いに行くプレー。ジャッカルをするプレーヤーは立っていなくてはならない。

シンビン sin-bin
 一時的退出を命じられたプレーヤーがその中にとどまっていなければならない、競技区域外の指定された区域。

スクラム scrum
 軽度な反則や競技の中断があった後にプレーを再開するための方法。通常双方8名のプレーヤーがスクラムを形成する。双方のフロントローが組み合うことで形成されるトンネルに投入されたボールを足で奪い合う。味方同士バインドし相手の8名と組み合うが、相手と直接組み合うフロントローはつねに3人でなくてはならない。

スローフォワード throw forward
 プレーヤーが前方(相手側のデッドボールラインの方向)にボールを投げるか、またはパスすること。相手側の投入によるスクラムとなる。フォワードパスといわれることもある。

セービング saving
 地上にあるボールに飛び込んでボールを確保するプレー。

センタースクラム centre scrum
 ハーフウェイラインまたは22メートルラインの中央で組まれるスクラム。

ダイブイン dive-in
 タックル地点に飛び込んでいくプレー。反則となり相手側にペナルティキックが与えられる。

ダイレクトタッチ direct touch
 キックオフおよびドロップアウトで蹴られたボールが、直接タッチになるか、また自陣22メートルラインより前方のフィールドオブプレーで蹴ったボールが、直接タッチになった場合。

タックラー tackler
 ボールキャリアーを捕まえ地面に倒した相手側のプレーヤー。

タックル tackle
 ボールキャリアーを捕まえ、そのプレーヤーを地面に倒すこと。タックラーがボールキャリアーを地面に倒れるまで捕まえ続けていないとタックルは成立しない。また、ボールキャリアーは横たわる、腰を下ろす、少なくとも一方の膝が地面についた場合、また横たわっている他のプレーヤーの上に乗った場合にも倒れたとみなされる。

タッチ touch
 タッチラインの外側(タッチラインを含む)の区域。ボールまたはボールキャリアーが、タッチラインまたはその先にあるものに触れた場合、「タッチになる」という。タッチラインの外側に蹴り出すキックをタッチキックという。

タッチダウン touch down
 防御側のプレーヤーが味方のインゴールでグラウンディングすること。

ダミーパス dummy pass
 パスすると見せかけてパスせず相手を惑わすプレー。

ティア tier
 ワールドラグビーがテストマッチの結果をもとにして決める世界ランキングとは別に区分する代表チームの格付けのこと。強豪国のティア1、中堅国のティア2、発展国のティア3で構成される。

デッド dead
 レフェリーがプレーを一時停止するために笛を吹いたときのこと。コンバージョンが失敗した場合、レフェリーは笛を吹かないが、この場合もデッドとなる。

テレビジョン・マッチ・オフィシャル television match official(通称TMO)
 おもに得点や不正なプレーにかかわる判定について、ビデオ映像を見ながらレフェリーを補佐するマッチ・オフィシャル。いわゆるビデオ判定。

トライ try
 攻撃側のプレーヤーが相手のインゴールでボールをグラウンディングすること。5点が得られる。

ドロップアウト drop out
 攻撃側によってインゴールに入れられたボールを防御側がグラウンディングするなどしてデッドにした場合に、防御側に与えられる自陣22メートルライン上、またはその後方から行われるドロップキック。キックは自陣22メートルラインを越えなくてはいけない。

ドロップキック drop-kick
 ボールを故意に片手あるいは両手で地面に落とし、最初に跳ねかえったときに蹴ること。

ノーサイド no side
 日本で好まれて使われるゲームの終了を意味することば。1999年までは競技規則にこのことばが「試合の終了をいう」と定義されていた。世界的には「フルタイム Full time」といわれる。

ノックオン knock on
 ボールを前方(相手側デッドボールラインの方向)に手または腕で押し進めること。相手側の投入によるスクラムとなる。

ノットストレート not straight
 スクラム、ラインアウトでボールをまっすぐ投入しないこと。スクラムでは相手側にフリーキックが与えられ、ラインアウトでは相手側の選択でスクラムあるいはラインアウトとなり、相手側がボールを投入する。

ノット・リリース・ザ・ボール not release the ball
 ボールを持って地面に倒れたプレーヤーがボールを放さず、相手側の立っているプレーヤーがボールをプレーしようとするのを妨げること。相手側にペナルティキックが与えられる。おもにタックル後に起こる。

ノット・ロール・アウェイ not roll away
 タックラーが倒れたままその場を離れず、タックルされたプレーヤーのプレーを妨げること。相手側にペナルティキックが与えられる。まれにタックルされたプレーヤーが反則を取られる場合もある。

ハイタックル high tackle
 肩の線より上へタックルすること、またはしようとすること。相手側にペナルティキックが与えられる。危険なプレーとして状況によってはイエローカード、あるいはレッドカードが出される場合がある。

バインディング(バインド) binding(bind)
 スクラム、ラック、モールにおいて、手から肩までの腕全体を接触させて、味方あるいは相手のプレーヤーの肩から腰の間の胴体の部分をしっかりつかむこと。

バージングbarging
 ラインアウトで相手プレーヤーをつかんだり押したりして妨害すること。相手側にペナルティキックが与えられる。

パント punt
 プレーヤーがボールを意図的に手から落とし地面に着く前に蹴ること。

ピックアップ pick up
 地上にあるボールを手で拾い上げること。スクラムやラックの中にあるボールを拾い上げた場合は反則となり、相手側にペナルティキックが与えられる。

フォール・オン・ザ・ボール fall on the ball
 タックルを受けて転がっているボールや、スクラムやラックから出た後すぐのボールに倒れ込みプレーを妨げること。相手側にペナルティキックが与えられる。「ライイング・オン・ザ・ボールlying on the ball」といわれることもある。

フッキング hooking
 スクラムの中に投げ入れられたボールを足で後方に掻(か)き出し、ボールを確保すること。

フットアップ foot up
 フッキングする際にボールが地面に触れる前に、フロントローが足を上げること。相手側にフリーキックが与えられる。

フリーキック free-kick
 スクラム、ラインアウトなどにおいて、それほど重くないと判断される反則を起こした際に相手側に与えられるキック。パント、ドロップキック、プレースキックのいずれでもよいが、ゴールは得られない。また、マークの際にもフリーキックが与えられる。

ブレークダウン breakdown
 ボールキャリアーが相手プレーヤーとコンタクトする状況(接点)のことで、多くの場合タックル後の状況をさす。

プレースキック place-kick
 地面またはキックティーに置いたボールを蹴ること。トライ後のコンバーション、ペナルティキックでゴールをねらう際に用いられる。

ペナルティキック penalty kick
 ペナルティ(重大な反則)を犯した際に相手側に与えられるキック。キックはパント、ドロップキック、プレースキックのいずれでもよく、ペナルティゴールをねらうことができる。キックのかわりにスクラムを選択することもできる。

ペナルティゴール penalty goal
 ペナルティキックを得た際にゴールを得るために蹴るキック。通常プレースキックが行われるが、ドロップキックでもよい。

ホイール wheel
 スクラムが左または右に回ること。故意にスクラムを回すと反則となり、相手側にペナルティキックが与えられる。

防御側 defending team
 競技規則ではボールの保持に関係なく「プレーが行われている地点が自陣にある側」と定義されているが、一般的にはスクラムやラインアウトにボールを投入したり、プレー中にボールを保持していたりするチームの相手側を意味する。

ボールキャリアー ball-carrier
 ボールを保持しているプレーヤーのこと。

ホールディング holding
 タックラーとタックルされたプレーヤーが地面に倒れたときに、タックルしたプレーヤーがタックルされたプレーヤーをただちに放さないこと。相手側にペナルティキックが与えられる。

マーク mark
 相手側がキックしたボールを自陣22メートルライン内で直接キャッチすると同時に「マーク」と叫ぶこと。マークを行ったプレーヤーのフリーキックでゲームは再開される。以前は「フェアーキャッチfair catch」といわれた。

マークオブタッチ mark of touch
 ラインアウトにおいてボールが投入されるべき想定上のライン。フィールドオブプレー内の、タッチラインと直角をなし、ボールが投入される地点まで延びた想定されたライン。マークオブタッチは、ゴールラインから5メートル以上離れていなければならない。

マッチ・オフィシャル match officials
 ゲームをコントロールする者で、通常はレフェリー1名とアシスタント・レフェリー、またはタッチジャッジ2名で構成されるが、テレビジョン・マッチ・オフィシャルも含まれる。

モール maul
 フィールドオブプレー内においてボールキャリアーと各チームから少なくとも1名ずつが参加して、互いに立ったままバインドしてボールを争奪するプレーのこと。

ラインアウト lineout
 ボールあるいはボールを持ったプレーヤーがタッチになった場合の競技再開の方法。各チームから少なくとも2名ずつのプレーヤーがラインを形成し、タッチから投入(スローイン)されたボールをキャッチしようとして構える。ボールは5メートルラインに届かなくてはならない。

ラインアウトプレーヤー lineout player
 ラインアウトの列に並ぶプレーヤー。

ラガー rugger
 ラグビー競技の別称。サッカーに対応する呼称であり、本来ラグビー選手の意味はない。

ラック ruck
 フィールドオブプレー内において各チームから少なくとも1名ずつのプレーヤーが立ったままの状態で、身体を密着させて地上にあるボールの周囲に密集してボールを争奪するプレーのこと。ラックの中のボールを手で扱うと反則となり、相手側にペナルティキックが与えられる。

リフティング lifting
 おもにラインアウトにおいてボールに向かってジャンプしようとする味方プレーヤーを持ち上げること。キックオフなどでボールをキャッチしようとする味方プレーヤーをリフティングすることもある。

レシーバー receiver
 ラインアウトからボールがノックバックあるいはパスバックされたときに、それを受け取る位置にいるプレーヤー。

レッドカード red card
 レフェリーがプレーヤーに退場を命ずる際に示す赤いカード。

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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