ラッパ節(読み)らっぱぶし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラッパ節」の意味・わかりやすい解説

ラッパ節
らっぱぶし

明治の流行歌。作詞・作曲者未詳。囃子詞(はやしことば)にちなんで『トコトット節』ともいう。日露戦争が終結した1905年(明治38)から歌い出され、数年にわたって大流行した。「倒れし兵士を抱き起し」や「今鳴る時計は8時半」といった歌詞に、時代相がうかがえる。替え歌は数多く、たとえば「紳士の妾(めかけ)の指先に、ピカピカするのは何じゃいな、ダイヤモンドか違います、可愛(かわい)い労働者の汗の玉、トコトットット」などは、官憲の目を盗んで街頭で歌われた。また足尾銅山の過酷な労働を歌い込むなど、社会の矛盾を指摘する歌詞も現れた。

[倉田喜弘]

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世界大百科事典(旧版)内のラッパ節の言及

【添田啞蟬坊】より

…日清戦争前後に,北陸をはじめ地方を巡演するなかから民謡調のメロディを自作にとりいれるようになり,99年に横江鉄石と共作した《ストライキ節》が最初のヒット作となった。日露戦争下に堺利彦から依頼されてつくった《ラッパ節》が戦後にかけて大流行となり,その新作をかさねるうちに社会主義を信条とするにいたり,《ああ金の世》《ああわからない》《増税節》などで大正初年にかけての大衆歌謡をリードした。痛烈な風刺を軽いユーモアの曲調にのせるところに啞蟬坊演歌の特色があり,社会主義者のフラクション抗争には超然としていたが,演壇からの話が警官によって〈弁士中止!〉となっても演歌で呼びかけ,〈啞蟬坊は2度の中止を食う〉と評判だった。…

※「ラッパ節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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