改訂新版 世界大百科事典 「ラップ語」の意味・わかりやすい解説
ラップ語 (ラップご)
Lappish
ウラル語族のフィン・ウゴル語派のフィン語系に属する言語。自称ではサーミ語(サーメ語)。スカンジナビア半島の北部からロシア連邦のコラ半島にかけ,3万1000人あまりのラップ人(サーミ人)により話されるといわれるが,ラップ人自体の正確な人口調査もなく,正確な話者数は不明である。方言は西,南,東に分かれていて相互の差は大きい。子音の階程交替が盛んである。例:varre〈山が〉,vare〈山の〉,sabme〈ラップ人が〉,same〈ラップ人の〉。名詞は8格に単数と複数で変化し所有語尾をとるが,所有物に単数と複数の別があり,双数の所有者をも表す。例:bar dn-an〈息子・私の〉,bar dn-iidâd〈息子たち・君の〉,bar dn-ade〈息子・あなたたち2人の〉。動詞は現在と過去に変化するが,人称では単数,双数,複数に分かれて変化する。例:logâm〈私が読む〉,lokkâbâ〈彼ら2人が読む〉。ノルウェーのニールセンK.Nielsenが文法書と辞典を出している。文例:niei da lokki gir ji.〈少女が・読む・本を〉。
執筆者:小泉 保
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報