岩石学辞典 「ラパキヴィ岩」の解説 ラパキヴィ岩 赤い色の角閃石黒雲母花崗岩または黒雲母花崗岩で,大きな角の取れた丸いカリ長石の結晶(ovoid)がオリゴクレースの殻(mantle)に囲まれているものが含まれるもの.カリ長石の結晶がオリゴクレースのマントルを持つ岩石をウィボルジャイト(wiborgite, viborgite)といい,マントルを持たない岩石をパイテルライト(pyterlite)という.pyterliteは角閃石が稀か含まれない.石英の少ないものは,ラパキヴィ閃長岩やティリライト(tirilite)として区別される.ティリライトでは石英とマイクロクリンが文象状に連晶となる.カリ長石の結晶は単結晶,カルルスバード双晶,数個の結晶の不規則な集合体などの場合がある.この中にはしばしば斜長石,石英,黒雲母など包有物が楕円体状に取り込まれている部分がある.後期の鉱物はカリ長石と,一般に少量の角閃石で,これらが石基を構成する.フィンランドとスウェーデンの先カンブリア紀の花崗岩はラパキヴィ構造が特徴的に発達しており,全体としてラパキヴィ花崗岩として知られている[Tomkeieff : 1983].ラパキヴィ花崗岩の名称はクリスチャニア地方の先カンブリア紀の若い花崗岩にも使用する[Holmes : 1920].ラパキヴィの名称は最初はヒエルネが注目し[Hjaerne : 1694],ティラスが最初に記載した[Tilas : 1739-1740, Tomkeieff : 1983]. 出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報