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花崗岩 かこうがんgranite

翻訳|granite

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

花崗岩
かこうがん
granite

カリ長石 (正長石,微斜長石) ,酸性斜長石,石英から成り,10%以下の有色鉱物を含む優白色,粗粒完晶質岩石。含有有色鉱物によって黒雲母花崗岩角閃石花崗岩などと呼ぶ。斜長石カリ長石の量比によって,斜長石>カリ長石の斜長石花崗岩 (トロニエマイト trondhjemite) ,斜長石≒カリ長石のアダメライト (adamellite) ,斜長石<カリ長石のカリ長石花崗岩に分ける。日本で普通花崗岩と呼んでいるものは,前2者および花崗岩と閃緑岩の中間的性質をもつ花崗閃緑岩石英閃緑岩である。花崗岩の多くは深成火成岩であるが,変成岩と考えられているものもある。花崗岩は大陸の楯状地や造山帯に分布し,大陸地殻を代表する岩石とされる。道路の舗装や建築材,墓石として使われることが多く,著名なものは産地の名前で呼ばれることもある。

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デジタル大辞泉の解説

かこう‐がん〔クワカウ‐〕【花×崗岩】

深成岩の一。粗粒で、粒のそろった岩石。主に石英カリ長石斜長石黒雲母(くろうんも)からなり、角閃石(かくせんせき)白雲母を含むこともある。色は白や淡灰色、淡紅色が多く、堅牢(けんろう)で磨くと光沢が出る。土木・建築用石材とする。産地として神戸市の御影(みかげ)が有名であったことから、御影石ともいう。グラナイト

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岩石学辞典の解説

花崗岩

花崗岩は優白質な粗粒の顕晶質の深成岩で,主に石英,カリ長石,酸性斜長石長石からなる岩石を総合して呼んでいる.厳密な意味での花崗岩は,代表的な半自形,粒状の組織を持ち,これを花崗岩状組織という.アルカリ長石は全長石の90~35%であり,斜長石は全長石量の1/3以下で,副成分は普通は角閃石または黒雲母で,白雲母も存在する.化学組成は流紋岩に相当し,アルカリ長石が全長石の90%以上含まれるものをアルカリ花崗岩という.長石の斑晶をもつ斑状組織のものも多く産出する.斜長石の量がカリ長石の量に比べて増加すると,花崗岩からアダメロ岩(石英モンゾニ岩)を通って花崗閃緑岩,トナル岩(石英閃緑岩)となる.石英が減少すると石英閃長岩から閃長岩に移行する.片理構造をもつ花崗岩も多く,片麻状花崗岩から花崗岩質片麻岩に漸移する.
花崗岩という語は非常に古く知られていたもので,セザルピヌスは粒状の岩石を花崗岩としたが[Caesalpinus : 1596],それ以前にすでにイタリアで使われていたらしい.イタリア語でgranitoはラテン語のgranumで粒を意味する.クロンステッドが閃長岩や閃緑岩と区別して石英─長石─雲母岩の岩石を花崗岩とし,ウェルナーも同様に使用した[Cronstedt : 1765,Werner : 1787].角閃石はマックローにより認められ,長石についてはローズにより初めて報告された [MacCulloch : 1821,Rose : 1849].花崗岩には様々な名前があり,プリニウス(Pliny)はエジプト,シエナの角閃石花崗岩を閃長岩(syenite)と呼んだが,他の人は硬質大理石(hard-marble)と呼んだ.プリニウスが使った閃長岩は,今日では疑いなく花崗岩である.プリニウスはスティグナイト(stignite)という語を使用したが,この語はウェルナー(Werner)が別な組合せの岩石に使用するまで忘れられていた.その後花崗岩という語は石英─長石─雲母質の岩石に限定されて使用されるようになった.
長石の性質については長い間注目されていなかったが,マックローによって二種類の長石が認められ[MacCulloch : 1821],これはフィリップスによって普通長石(正長石)とガラス質長石(サニディン)とされた[Phillips : 1844].斜長石を初めて認めたのはローズで,彼は花崗岩は正長石,石英,白いK-雲母,黒いMg-雲母,オリゴクレースとからなっており,その他に副成分に角閃石,石榴石,褐簾石,チタナイト,燐灰石,黄鉄鉱があると述べている[Rose : 1849].
花崗岩には様々な名称が付けられ非常に紛らわしいが,野外名としての花崗岩と標本による厳密な意味での花崗岩を混同している場合が多い.日本語の花崗岩はおそらく江戸時代に作られた名称らしく,幕末から明治初期の辞書,地質学書でgraniteを訳して花崗岩をあて,御影石(みかげいし)と読む例が多い.花剛石と書く場合もある.御影石は六甲山塊の花崗岩石材で,天正17(1589) 年に豊臣秀吉が京都三条大橋の橋脚の石柱に摂津国御影と刻んでいる.中国では美麗な文様のある石を花石とよんだが,これに由来して花崗岩の名が日本で作られたとしている[歌代ほか : 1978, 章 : 1921].

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大辞林 第三版の解説

かこうがん【花崗岩】

石英・雲母・長石などの鉱物から成る深成岩。完晶質・等粒状で、色は白っぽい。磨くと光沢がでる。石碑、建築・土木用材など用途が広い。御影石みかげいし

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

花崗岩
かこうがん
granite

石英と長石とを主成分とする比較的粒の粗い岩石の総称。長石はカリウム長石(カリ長石)の場合と斜長石の場合があるが、たいていはその両者がともに含まれる。このほかに少量の黒雲母(くろうんも)や角閃石(かくせんせき)を含むのが普通で、そのために白や淡灰あるいは淡紅の基質に、黒の斑点(はんてん)が散在してみえる。[橋本光男]

花崗岩の種類

花崗岩は石英とカリウム長石と斜長石の量比に基づいて、いろいろな種類に細分され、それぞれに特別の名称が与えられている。しかし、石英をほとんど、またはまったく含まないものは、花崗岩と区別され、カリウム長石に富む閃長岩と、斜長石に富む閃緑岩に分類される。そして、石英が10%以上含まれるものを広義の花崗岩とよび、それらを次のように区分する。すなわち全長石量に対するカリウム長石の割合が、(1)3分の1以上のものは狭義の花崗岩、(2)3分の1から8分の1のものは花崗閃緑岩、(3)8分の1以下のものは石英閃緑岩、などである。
 岩石全体の化学組成からいうと、ケイ酸SiO2の量は狭義の花崗岩で約73%、石英閃緑岩では約63%としだいに低下し、それとともに石英、長石以外の鉱物の種類と量も変化する。
 狭義の花崗岩では、カリウム長石に比して斜長石の量が少ない。カリウム長石は正長石であることもあり、また微斜長石(マイクロクリンmicrocline)であることもある。石英や長石のほかには主として黒雲母が含まれ、ときには白雲母を伴うこともある。花崗岩の長石、とくにカリウム長石は、ときには他鉱物に比べて大きな結晶となり、岩石に斑状の外観を与える。このような花崗岩は斑状花崗岩とよばれる。
 カルク・アルカリ岩系の花崗岩が角閃石を含む場合、それは普通角閃石であることが多いが、アルカリ岩系のものでは、アルベゾン閃石などのアルカリ角閃石が含まれる。花崗岩が輝石を含むことは少ないが、アルカリ岩系のものにはエジリンのようなアルカリ輝石の含まれることがある。
 花崗閃緑岩ではカリウム長石に比して斜長石のほうが多くなり、石英閃緑岩にはカリウム長石はほとんど含まれない。それとともに、黒雲母や角閃石の量も増加し、また後者の方が前者よりも多くなる。
 以上三つの花崗岩類を通じて、燐灰石(りんかいせき)、ジルコン、褐簾石(かつれんせき)などはわずかであるが普遍的に含まれ、また緑泥石や緑簾石などが二次的変質の産物としてみいだされることが多い。
 花崗岩にはごく少量の不透明鉱物の含まれることが多いが、それは磁鉄鉱やチタン鉄鉱であることと、磁鉄鉱を含まずチタン鉄鉱と他の硫化鉄鉱などであることとがある。そこで花崗岩を磁鉄鉱系列の花崗岩とチタン鉄鉱系列のそれとに区分することができる。これは石英と長石の量比による前述の分類とは別の区分法である。また、化学組成のうえで比較的石灰CaOに富み、かつ第二鉄Fe2O3/第一鉄FeOの高いものと、その逆のものとを区分するというような分類もあり、これらはいずれも花崗岩の成因に関連した分け方である。[橋本光男]

産状と成因

花崗岩の地質学的産状は大別して二つある。一つは周囲の岩石の地質構造に不調和な貫入岩体をなすもので、地質図に表れる平面の形は不規則だが、まとまっていて輪郭は明瞭(めいりょう)である。これは花崗岩質マグマが貫入固結したもので、周囲にはマグマの熱の影響で熱変成作用がおこり、ホルンフェルスの分布する熱変成帯ができている。
 これに対して、広域変成岩の地帯では、片麻岩の複雑な構造に調和した形の花崗岩体がみられる。花崗岩と片麻岩の境界は明瞭でなく、互いに移り変わる状態になっている。このような花崗岩は、周囲の変成岩を生じた広域変成作用に関連して生じたものであろう。すなわち、変成作用と同時に花崗岩マグマが貫入し、変成岩を同化しつつ固結したものか、あるいは変成作用が極限まで進み、変成岩の一部が融解したために花崗岩マグマが生成したものと思われる。
 しかし、いずれにせよ花崗岩は、ケイ酸やアルミナAl2O3、アルカリ(Na2OとK2O)などに富む酸性のマグマが地下に大量に生じ、それが比較的浅い所に貫入固結して生成したものということができる。したがって、花崗岩の多くは、成因上、流紋岩や安山岩などの噴出岩(火山岩)と関係が深い。
 なお、花崗岩は北ヨーロッパ、カナダ、アフリカ、中国などのような先カンブリア時代(約5億7000万年前より古い時代)の基盤地質地域と、日本やアメリカ西部などのような造山帯地域に特徴的に分布し、前者には狭義の花崗岩が、後者には花崗閃緑岩や石英閃緑岩が多いとされている。[橋本光男]

ペグマタイトとアプライト

花崗岩体の一部には、黒雲母や角閃石を含まず、ほとんど石英と長石のみからなる白色の岩石が、脈をなして母岩を貫いていることがある。それらのうち、きわめて粗粒のものをペグマタイト、細粒のものをアプライトという。これらは花崗岩マグマの固結の末期に生成するもので、白雲母、電気石、トパーズなどを含むことが多い。[橋本光男]

利用

花崗岩は一般に構成鉱物の結晶粒が大きく、組織も一様で乱れがない。色は純白、淡紅あるいは淡灰で、磨き上げて光沢が出るようになると、たいへん美しい。そのため建築物の外張りに広く利用されている。また強度も高いので、土木用としても、敷き石、橋、堤防などに使われ、そのほか石碑、墓石、門柱など、用途が広い。日本で通常「本御影(みかげ)」(神戸市御影の六甲(ろっこう)山中から多量の花崗岩が切り出されたことによる)とよばれている石材の大部分は広義の花崗岩で、とくに花崗閃緑岩が多い。なお黒御影といわれているのは、斑糲(はんれい)岩であって花崗岩ではない。[橋本光男]
『勘米良亀齢・橋本光男・松田時彦編『日本の地質』(1992・岩波書店) ▽池田碩著『花崗岩地形の世界』(1998・古今書院) ▽地盤工学会編・刊『風化花崗岩とまさ土の工学的性質とその応用』(1998) ▽高橋正樹著『花崗岩が語る地球の進化』(1999・岩波書店) ▽ウォレス・S・ピッチャー著、田中久雄・沓掛俊夫訳『花崗岩の成り立ち――その性質と成因』(2002・愛智出版)』

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