ラートリー(読み)らーとりー(その他表記)Rātrī

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラートリー」の意味・わかりやすい解説

ラートリー
らーとりー
Rātrī

古代インドの女神。夜を神格化したもの。インド最古の聖典リグ・ベーダ』において、この女神は暁紅(ぎょうこう)の女神ウシャス姉妹とされ、しばしば一対の神としてたたえられる。ウシャスと同じく天の娘とよばれ、また不死の女神とよばれる。この女神は星々を目とし、あらゆる美を身につけ、広大な空間を満たし、光明により暗黒を払うという(この場合は星明かりの夜)。古代インドの人々はこの女神に夜間の安全を祈願した。

上村勝彦

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラートリー」の意味・わかりやすい解説

ラートリー
Rātrī

サンスクリット語で夜を意味し,『リグ・ベーダ』第 10巻 127頌で歌われる夜の女神。昼の女神ウシャスの姉。星を眼としていたるところを眺めている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android