り‐けり
(完了の
助動詞「り」の連用形に過去の助動詞「
けり」がついたもの)
① 動作・作用が完了したことを確認する
気持を表わす。…した。…したのだった。
※
古今(905‐914)
仮名序「
やまとうたは、人の心を種として、万のことの葉とぞなれりける」
② 動作・状態が継続していることを確認する気持を表わす。…していた。…していたのだった。
※
万葉(8C後)一九・四二三一「
なでしこは秋咲くものを君が家の雪の巖に咲け理家流
(リケル)かも」
[語誌](1)
上代には「
万葉集」に数例見られる程度である。中古になると、和文文学作品の文章に多く用いられる。ただし、
勅撰集では
詞書での使用が目立ち、
和歌の中にはほとんど見られない。
(2)日記での使用はまれであり、物語では、
原則として地の文での使用に限られる。「
源氏物語」では多くが「給へりけり」の
かたちである。
(3)「り」が衰えて「たり」が優勢となっていくことによって、中古末期以降、「りけり」もまた衰退していった。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報