リッチャビ(英語表記)Licchavi

改訂新版 世界大百科事典 「リッチャビ」の意味・わかりやすい解説

リッチャビ
Licchavi

古代北インドの部族。その国家は〈十六大国〉の一つに数えられるバッジ。首都はバイシャーリーベーサーリー)。部族共和制(サンガ)を採用し,国家の最高機関である部族集会にはラージャ王族)と称する7707人が参加したという。同じ共和制の諸国を糾合したブリジVṛjji(バッジVajji)同盟の盟主の地位にあり,しばしばブリジ族と同一視される。釈迦はリッチャビ族の国家が強力である理由として,団結と伝統尊重など7項目をあげたという。マガダ国のアジャータシャトル王は,策謀を用いてリッチャビ族の団結を内部から崩したのち,前5世紀初めにこの国を攻め滅ぼした。リッチャビ族はそれ以後もクシャトリヤ部族として残存したようである。グプタ朝初代王のチャンドラグプタ1世は,名門リッチャビ族から妃を迎えたことを誇っている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のリッチャビの言及

【ネワール】より

…彼らは古くから都市文明を培い,シャハŚāh王朝による現ネパール王国の統一(1768∥69)以前に盆地とその周辺を版図とするいくつかの王朝を築いた。7世紀前後数世紀にわたって存在したリッチャビLicchavi王朝の繁栄は中国の史書にも見え,また13~18世紀のマッラMalla王朝時代には建築,彫刻などの工芸や学問が開花した。今日ネワールは一般に商才にたけた人々として知られ,全人口の半数近くが盆地外の町に進出し,商業,官庁勤め等の仕事に携わっている。…

【サンガ】より

…同じく集団を意味するガナgaṇaの名でも呼ばれ,英語ではリパブリックrepublicと訳される。仏教成立時代のリッチャビ族や釈迦(シャーキヤ)族の国家は,この種の国家を代表するものである。仏典の伝えるところによると,リッチャビ族の部族集会にはラージャ(王族)の称号をもつ7707人が参加したという。…

【ネパール】より

…14世紀以降に書かれた王朝譜《バンシャバリーVaṃśāvalī》は古代にゴパーラやキラータなどの王朝があったとするが確証はない。確実なのはリッチャビ王朝からである。これはその始まりも終りも明らかでないが,マーナデーバMānadeva王の碑文から464年には存在していたことがわかる。…

【ネワール】より

…彼らは古くから都市文明を培い,シャハŚāh王朝による現ネパール王国の統一(1768∥69)以前に盆地とその周辺を版図とするいくつかの王朝を築いた。7世紀前後数世紀にわたって存在したリッチャビLicchavi王朝の繁栄は中国の史書にも見え,また13~18世紀のマッラMalla王朝時代には建築,彫刻などの工芸や学問が開花した。今日ネワールは一般に商才にたけた人々として知られ,全人口の半数近くが盆地外の町に進出し,商業,官庁勤め等の仕事に携わっている。…

※「リッチャビ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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