改訂新版 世界大百科事典 「バイシャーリー」の意味・わかりやすい解説
バイシャーリー
Vaiśālī
古代インドの六大都市の一つで,中部インドのリッチャビ族の都。パーリ語ではベーサーリーVesālīと呼ばれ,漢訳仏典には毘舎離(びしやり)と記される。現在その遺址はガンガー(ガンジス)川を隔てたパトナーの北方約30kmのバサールBasarh村に比定されている。釈迦在世当時(前5~前4世紀)には共和政をしいていた。やがてマガダ国の支配下に属し,グプタ朝に至るまで商業都市として栄えた。釈迦は晩年にもこの地を訪れ,近くの竹林村で最後の安居(あんご)を過ごしている。仏典には釈迦がここで3ヵ月後の自身の死を予告したことを伝えている。《維摩経》に登場する維摩居士もこの地の長者として記されており,仏滅後100年ころの第2回目の仏典結集がここで行われた。この地で猿猴(えんこう)が釈迦に蜜を奉じたという有名な物語が伝えられている。
執筆者:三友 量順
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報