日本大百科全書(ニッポニカ) 「レキトス」の意味・わかりやすい解説 レキトスれきとすlekythos 古代ギリシア陶器の一種。紀元前6世紀、アッティカ地方で香油入れとしてつくられたのが最初で、初期の形には腹部が大きく膨らんだものがみられるが、その世紀の末ごろには、細長い頸部(けいぶ)と水平に近い肩部、円筒状の細身の胴部、垂直の把手(とって)をもつ形が定まった。さらに前5世紀の70年代からその世紀の終わりにかけて、葬祭用として墓地に置かれる彩描の白地レキトスが製作された。描かれた絵の主題はほとんどが故人をしのぶものであり、決別、瞑想(めいそう)など哀愁に満ちたものが多く、ギリシア陶画のなかでも独特の魅力を備えている。[前田正明] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例