改訂新版 世界大百科事典 「レッドリバー反乱」の意味・わかりやすい解説
レッド・リバー反乱 (レッドリバーはんらん)
Red River Rebellion
1869年から70年にかけて,カナダの現ウィニペグ付近で起こったメティスによる反乱。1867年のカナダ自治領政府の成立にともない,ハドソン湾会社が約200年間にわたって領有してきたルパーツ・ランドのカナダへの委譲交渉が開始され,69年12月1日を期して譲渡が成立することになった。広大なルパーツ・ランドの唯一の定住地,レッド・リバー植民地に住むメティスを主体とする住民はこの交渉にまったくあずからなかった。彼らはL.リエルを首班として臨時政府を樹立し,連邦政府へ既得権擁護を求め,連邦政府任命の副総督の就任を阻止した。彼らの要求はマニトバ法として具体化され,70年5月,レッド・リバー植民地はマニトバ州として連邦に加入したが,この間実力でメティスを追うべく侵入したオンタリオ人トマス・スコットを臨時政府が捕らえて処刑したため,リエルとその一党は反徒とされ,彼らの希望が受理されたにもかかわらず,反乱の指導者たちは州の成立を目前にレッド・リバー植民地を去った。
執筆者:大原 祐子
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