リエル(英語表記)Riel, Louis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リエル」の意味・わかりやすい解説

リエル
Riel, Louis

[生]1844.10.23. マニトバ,サンボニファス
[没]1885.11.16. サスカチュワン,リジャイナ
カナダ北西部地方における 1869年と 85年の反乱の指導者。フランス人の父と,先住民とアイルランド人のメティスの母の間に生れる。モントリオールの神学校で学んだのち,69年故郷のレッドリバー植民地へ戻り,この地をカナダ自治領に併合しようとしていたカナダ連邦政府に対する,メティスの抗議運動に加わった。同年 10月メティスは自治政府を組織してリエルを大統領に選出。メティスの権益を守ることを求めた要望書を連邦政府に提出し,その大半が認められて 70年のマニトバ法に結実した。しかし彼に抵抗したイギリス系カナダ人 T.スコット処刑による報復を恐れ,70年夏アメリカに逃亡モンタナに定住した。 84年当時の北西 (ノースウェスト) 准州で連邦政府の政策に対する不満が高まると,指導者として呼戻され,再び自治政府を組織しようとした。しかしこのときすでに連邦政府は強力になっており,亡命中の2年間を精神病院で過したリエルは以前の統率力を発揮しえず,反乱軍は 85年5月 12日,バトシエで大敗して彼は捕えられ,リジャイナで処刑された。この処刑は,少数民族,特にフランス系カナダ人反撃を買い,以後のカナダにおいて 19世紀末にかけての国家の一大分裂を招くこととなった。

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