改訂新版 世界大百科事典 「レプリーゼ」の意味・わかりやすい解説
レプリーゼ
reprise
百日咳のときにみられる独特の笛声をいう。百日咳に罹患して初めの1~2週間はカタル期といって風邪様症状であるが,その後,百日咳特有な咳の発作が多くなる痙咳(けいがい)期に入る。咳は発作的に引き続いて反復,続けて十から二十数回に及び,顔面は紅潮し,涙や唾液を流し苦しがる。咳の発作が終わるときに深く息を吸い,このとき笛のような音(笛声)を発する。これがレプリーゼで,百日咳の診断にも参考となる症状である。RSウイルス,アデノウイルスの感染によってもレプリーゼがみられることがあるが,百日咳のそれよりも軽いのが普通である。〈レプリーゼ〉の意味は〈反復する〉ということであるが,医学用語は笛声をさす。しかし,レプリーゼを百日咳の咳発をくり返す意味に使用し,笛声をwhoopingとする者もある。
→百日咳
執筆者:渡辺 言夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報