軽い(読み)カルイ

デジタル大辞泉 「軽い」の意味・読み・例文・類語

かる・い【軽い】

[形][文]かる・し[ク]
目方が少ない。また、抵抗が小さい。「荷物が―・い」「空気より―・い気体」「ペダルが―・い自転車」⇔重い
動きに力がかかっていない。「ドアを―・くノックする」「―・い身のこなし」⇔重い
束縛感やこだわりがなくのびのびしている。「心が―・くなった」「足どりが―・い」⇔重い
浮ついている。軽率・軽薄である。「口の―・い男」「尻が―・い」

㋐たいした程度でない。「罪が―・い」「―・い病」「―・い冗談」⇔重い
㋑重要でない。重大でない。「責任が―・い」「相手を―・く見る」「事態を―・く考える」⇔重い
本格的でない。大げさでなく手軽である。「―・い食事」「―・い運動」「―・く一杯やろう」
刺激が少なくあっさりとしている。「―・いタバコ」「―・いタッチの随筆」「―・い音楽」
簡単にできるさま。容易である。「こんな問題なんて―・いもんさ」「大台を―・く突破する」
コンピューターが素早く動作するさま。コンピューターの性能に比べて負荷が小さいソフトウエアを動かす時などに、命令や処理にかかる時間が極めて短いさまをさす。「動作が―・いブラウザー」⇔重い
[派生]かるげ[形動]かるさ[名]かるみ[名]
[下接句]口が軽いしりが軽い命は義によりて軽し命は鴻毛こうもうより軽し死はあるいは泰山たいざんより重く或いは鴻毛より軽し
[類語](1軽量軽軽身軽軽快かろやかひらりライトひょいひらりひょいひょいぴょんぴょんぴょんさっとさっさ/(8ちょろいたやすい簡単容易簡略簡易あっさり手っ取り早いやすいらく手軽手軽い造作ないわけないくみやす楽楽易易いい易易やすやす・軽く・悠悠難無く苦もなく生易しいイージー朝飯前楽勝お茶の子お茶の子さいさい河童かっぱたなごころを返す労せずして赤子の手をひねお手の物事も無げむざむざ軽軽かるがる無造作手も無く見す見すまんまと平易軽易安易物ともせずすんなりすいすい首尾良くちょいちょいちょちょいのちょい

かろ・い【軽い】

[形][文]かろ・し[ク]かるい」に同じ。
「馴染みの家をぐるぐる回って歩いているうちには、背中の荷が段々―・くなって」〈漱石
「御心のすこし―・くおはします」〈大鏡・兼家〉

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精選版 日本国語大辞典 「軽い」の意味・読み・例文・類語

かる・い【軽】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]かる・し 〘 形容詞ク活用 〙 重量の少ない状態を表わし、転じて、身分、性質、動作、気持などについて、その程度がそれ程でない状態を表わす場合に広く用いる。かろい。⇔重い
  2. 目方が少ない。重くない。
    1. [初出の実例]「輶 カルシ」(出典:韻字集(1104‐10))
    2. 「小判をりんだめにてかける事なし。かるきをとれば、又其ままにさきへわたし」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)五)
  3. たいした程度でない。重大でない。ちょっとした。
    1. [初出の実例]「荼羅の人の、破戒の趣法の重罪に親近せむよりも軽(カル)し」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)四)
    2. 「痘瘡(おやく)を遊ばしたさうでございますネ。夫でも至極お軽(カル)い御様子で」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)三)
  4. 軽薄である。また、軽率である。
    1. [初出の実例]「出でて去なば心かるしといひやせん世のありさまを人は知らねば」(出典:伊勢物語(10C前)二一)
  5. 軽快である。また、気持がはればれしている。
    1. [初出の実例]「此一うたひかかりて、かるく謡ふべし」(出典:申楽談儀(1430)音曲の心根)
    2. 「もすそを見ればかるい装束 中返り帰る所をしらんとて〈芭蕉〉」(出典:俳諧・江戸広小路(1678))
  6. 淡泊である。あっさりしている。大げさでない。
    1. [初出の実例]「ただ今の殿様先代とちがひ、なにかに付けて軽いお身持」(出典:浄瑠璃・心中宵庚申(1722)上)
    2. 「どんな軽(カル)液体でも狂った胃が決して受付ない」(出典:行人(1912‐13)〈夏目漱石〉友達)
    3. 「卵三ダース、〈略〉、ミルクティーバケツ四杯、を軽くたいらげるという」(出典:空気男のはなし(1974)〈金井美恵子〉)
  7. 身分が低い。また、財産が少ない。
    1. [初出の実例]「世の風儀をみるに、手前よき人、表むきかるう見せるは稀なり」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)一)
    2. 「尾張中納言宗勝の奥の軽(カル)召使になった」(出典:ぢいさんばあさん(1915)〈森鴎外〉)

軽いの語誌

( 1 )「かるし」は「かろし」の母音交替形。「かるし」の方が古いとするが逆の説もある。
( 2 )上代には形容詞としての確例はないが、語幹が地名「軽」を指すのに使われる。平安、鎌倉時代には「かろし」の方が普通に使われ、「かるし」は用例が少ない。
( 3 )中世以降は、「かろし(い)」と併用されるが、狂言や抄物では「かるい」の方が普通であり、キリシタン資料でも口語性の強い作品で「かるい」、文語系の作品で「かろい」が使用されることが多い。ただ、口語形を多く載せるといわれる「甲陽軍鑑」の写本などでは「かろい」の方が多いので、「かるい」を口語形であるとは決めがたい。「日葡辞書」も両形を載せている。
( 4 )近世においても、近松や西鶴の作品には両形見られるが、近代以降「かるい」の方が優勢となる。

軽いの派生語

かる‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

軽いの派生語

かる‐さ
  1. 〘 名詞 〙

軽いの派生語

かる‐み
  1. 〘 名詞 〙

かろ・い【軽】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]かろ・し 〘 形容詞ク活用 〙かるい(軽)
  2. 目方が少ない。重くない。
    1. [初出の実例]「風にちる紅葉はかろし春の色をいはねの松にかけてこそみめ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
    2. 「荷をかろくせんとて」(出典:尋常小学読本(1887)〈文部省〉三)
  3. たいした程度でない。重大でない。
    1. [初出の実例]「まだ下臈なり。世の聞き耳かろしとおもはれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)常夏)
    2. 「世をかろく思ひたる曲者にて」(出典:徒然草(1331頃)六〇)
  4. 重みがない。軽薄である。また、軽率である。
    1. [初出の実例]「君がためかろき心もなきものを涙にうかぶころにもあるかな」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
  5. 軽快である。機敏である。
    1. [初出の実例]「山おろし小柴のかげにさっと吹 しら雲かろき手水手ぬぐひ〈似春〉」(出典:俳諧・俳諧一葉集(1827))
    2. 「下駄を脱ぐ音がして、軽(カロ)い跫音が次の間に入った」(出典:鳥影(1908)〈石川啄木〉四)
  6. 淡泊である。あっさりしている。
    1. [初出の実例]「世はかろく暮して埒(らち)をあけぬ」(出典:浮世草子西鶴置土産(1693)一)
  7. 身分が低い。
    1. [初出の実例]「をのづから、かろきかたにも見えしを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)

軽いの語誌

→「かるい(軽)」の語誌

軽いの派生語

かろ‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

軽いの派生語

かろ‐さ
  1. 〘 名詞 〙

軽いの派生語

かろ‐み
  1. 〘 名詞 〙

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IT用語がわかる辞典 「軽い」の解説

かるい【軽い】

コンピューターを操作しているときに、その動作や反応が素早く感じられる様子。⇔重い ◇コンピューターの性能に比べてアプリケーションソフトの負荷が小さかったり、コンピューターネットワーク帯域幅に比べてデータ通信の容量が少なかったりすると、処理や通信にかかる時間が短くなるため、軽快に感じられることから。

出典 講談社IT用語がわかる辞典について 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「軽い」の解説

軽い

ソフトウェアネットワークの利用時に、処理やレスポンスに時間がかからず、結果がすばやく表示される状態にあること。逆の状態を、重いという。

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