日本大百科全書(ニッポニカ) 「れんが」の意味・わかりやすい解説
れんが
れんが / 煉瓦
一般には粘土に砂を混ぜて練り、一定寸法の大きさに成形したものを乾燥させて焼成した赤れんがをさす。適当に酸化鉄を含んだ粘土を用いるために、赤褐色を帯びている。一般建築に用いられるものはこの赤れんがが多く、わが国では明治初期ごろかられんが建築に使われてきたが、地震に弱く、とくに関東大震災で大きな被害を受けて以来、構造用としての用途から、内装材や、塀、間仕切り壁、さらに最近では外装の装飾材料として用いられている。地震のない欧米諸国では、古代エジプト、ギリシア、ローマ時代から、れんがが構造材として用いられ、現在でも重要な建築資材となっている。
赤れんがは、普通900℃程度で焼成されるが、窯の中の温度が一様でないために、焼け不足のものや焼けすぎのものができて色の変化が生じ、これがまた装飾的なおもしろさを出している。寸法は国際的に基準があり、普通れんがで21センチメートル×10センチメートル×6センチメートルで、日本工業規格(JIS(ジス))でもこれに従っている。積み上げる方法によって、これを一定の寸法に割って用いる。この大きさ以外にも異形のものもあるが、とくに空洞れんがは断熱上有効であるために、外国では外壁材として多く使用されている。このほかに耐摩耗性を大きくした舗道れんが、釉薬(ゆうやく)をかけて高温焼成し装飾性を高めたテラコッタれんが、高熱窯炉に用いるために耐火性をあげた耐火れんが、石英質の砂と石灰を配合し加圧水蒸気で硬化させた不焼成のけい灰れんがなどがある。このうち耐火れんがは工業的に重要な資材であり、1580℃以上の耐火性を有するもので、その種類は多い。
近年、懐古的な意味合いから、れんが積みによる外装が流行しているが、なかには、本物のれんがではなく、ガラス繊維補強セメント(GRC)板あるいは石綿セメント板などの表面を、赤れんが風に模倣したものもある。
[工藤矩弘]