ロスウィータ(英語表記)Hroswitha von Gandersheim

改訂新版 世界大百科事典 「ロスウィータ」の意味・わかりやすい解説

ロスウィータ(ガンダースハイムの)
Hroswitha von Gandersheim
生没年:935?-980?

ドイツ最初の女流詩人。RoswithaまたはローツウィトHrotsvithとも記される。ガンダースハイム修道院の尼僧。8編の韻文聖者伝,テレンティウス風の押韻散文戯曲6編,歴史詩2編を中世ラテン語で書いた。キリスト教的戯曲の最古層に属す彼女の戯曲はテレンティウスにならいながらも,彼の異教的不道徳を排して貞潔賛美に終始しており,教育的意図が濃厚である。彼女の作品は12世紀の受難劇に取り入れられた1編を例外としてすべて忘れられていたが,人文主義期に再発見された。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のロスウィータの言及

【キリスト教文学】より

…この時代にようやく芽ばえたドイツ文学にも,オトフリートの《福音歌》,低ドイツ古語による《救世主》の宗教的記念碑がある。 つぎの世紀はオットー1世による文教の復興期で,各地の修道院を中心に詩人・学者が輩出したが,中に特筆すべきは,中世ラテン宗教劇の圧巻であるガンダースハイムのロスウィータの多く殉教者伝に取材した6編の散文劇と,教会音楽に重要な地位を占めるミサの続唱(セクエンティアsequentia)の発展である。これはすでに9世紀後半ノトカーBalbulus Notkerらを先行者とし,ザンクト・ガレン修道院から各地へ広がり,やがて12世紀に〈やさしきイエスの思いは〉の《バラの続唱》(作者不詳),つづいて〈来ませ尊き御霊〉の《黄金続唱》(S.ラングトンまたは教皇インノケンティウス3世作)などを生んだ。…

【ツェルティス】より

…全ドイツを遍歴して各地に人文主義者の組織をつくり,人文主義の普及と発展に貢献した。愛国主義的でゲルマン古代を理想の時代とし,ドイツの古書を収集して,11世紀の女流詩人ロスウィータの作品なども発見した。【中村 賢二郎】。…

※「ロスウィータ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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