日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロバー・バロン」の意味・わかりやすい解説
ロバー・バロン
ろばーばろん
Robber Barons
19世紀後半のアメリカの大資本家に対する否定的なあだ名。この「強盗男爵」の語は、1934年にM・ジョセフソンが著書の題名とし、普及した。彼は、カーネギー、グールド、モルガン、ロックフェラーらが大企業集団をつくる過程で、いかに公共の利益に反する行動をしたかを描いた。戦争に乗じた資本形成、不当な価格決定や投機的な株式操作によるトラスト設立、不正競争手段による中小企業つぶしや農民圧迫、賃金切下げ、スト弾圧などの労働者搾取、政治家買収による腐敗促進などが、これら大資本家の活躍に伴った。他方、彼らは晩年、巨富の一部を慈善事業や芸術、文化の発展に寄付し、その評価を分かれさせている。
[長沼秀世]