ロマニステン(読み)ろまにすてん(その他表記)Romanisten ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロマニステン」の意味・わかりやすい解説

ロマニステン
ろまにすてん
Romanisten ドイツ語

ロマニストの複数形。ゲルマニステンに対する語で、通常、古代ローマの言語、文学、法などの研究者の総称。19世紀初頭ドイツの歴史法学派の創始者サビニーは、法は言語と同様民族の共同の意識によって内在的に生成するものと考え、中世以来ドイツに継受された普通法としてのローマ法を本来の純粋な形で抽出し、ドイツ近代法をつくることを目ざした。しかし民族精神を強調するサビニーの主張は同時に、継受されたローマ法(普通法)を批判してゲルマン民族固有の法の研究を促し、ローマ法研究者(ロマニステン)とゲルマン法研究者(ゲルマニステン)との抗争を生み出し、1840年ごろそのピークに達した。1887年のドイツ民法第一草案は圧倒的にロマニステンの影響下で起草されたものであり、これは日本の民法典に決定的影響を与えたが、ドイツでは、ゲルマニステンの批判によって、ゲルマン的要素を加味した民法典が編纂(へんさん)されることとなった。けれども近年の法史学研究の進展に伴い、両者を区別する意義は失われつつある。

[佐藤篤士]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のロマニステンの言及

【法制史】より

…現行私法(普通法)の解釈学(ドグマーティク)と直結し,これに奉仕すべきものであった。 歴史法学派はローマ法学者(ロマニステン)とゲルマン法学者(ゲルマニステン)の2派からなる。ロマニステンは歴史法学の本来の担い手であり,法実証主義的な〈パンデクテン法学〉と近代的概念および体系を用いたドグマーティッシュなローマ法研究をもたらしたが,パンデクテン法学がほぼ完成に達した1880年代以降,ローマ法研究は法解釈学への奉仕から解放され始める。…

※「ロマニステン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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