歴史法学派(読み)れきしほうがくは(その他表記)historische Rechts-schule

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「歴史法学派」の意味・わかりやすい解説

歴史法学派
れきしほうがくは
historische Rechts-schule

広くは法の歴史的研究 (たとえばモンテスキューの『法の精神』をも含む) をさすこともあるが,固有の意味では 19世紀初頭のドイツに興った歴史主義の立場から,法の形成,発展の歴史的研究を主要課題とする法学を意味する。イギリスにおける H.メーン,S.ビノグラドフなどの法理論も「歴史的方法」を基本的立場とする点から歴史法学派と呼ばれる。ドイツの歴史法学派は J.メーザーに始り,F.サビニー,G.プフタによって確立された。この学派はフランス革命後生じたナショナリズム時代思潮を背景にして,啓蒙的合理主義と自然法論に対する批判として生れた。 A.チボーとの「ドイツ統一法典論争」に際して,サビニーは法は民族精神の有機的所産であるから,つくられるのではなく歴史的方法によって発見されるものであると論じた。それゆえに法源として慣習法が重視される。また,法は言語と同様にその民族とともに有機的に生成発展するので,民族固有の性質をもっているとし,法の普遍的妥当性が否定される。このドイツ歴史法学派の研究対象は 15世紀末以来ドイツに継受されていたユスチニアヌスの『ローマ法大全』であり,そこから高度に体系的なドイツ普通法学 (→パンデクテン法学 ) が誕生することとなる。

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