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美学 びがくaesthetics

翻訳|aesthetics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

美学
びがく
aesthetics

価値としての美,現象としての美,美の体験などを対象とする学問。諸学の上位に位置する美そのものの学を唱えたプラトンを代表とする西洋の伝統的美学は,超越的価値としての美を考察する。一方,1735年バウムガルテンによってたてられた aesthetics (感性的認識の学) としての美学は,主として芸術美を享受体験のなかで考察する。芸術と美を学問対象として区別すべしとする主張は,19世紀末 K.フィードラーによって提出された。学問としての自律性の要求から E.スーリオらは美学固有の対象を形にみている。科学的実験美学は,1876年のフェヒナーに始った。概して美学のなかには一般芸術学が含まれ,個々の芸術ジャンルを扱う個別的な美学 (音楽美学,演劇美学など) もある。広くは個別芸術学も含む。芸術美のほかに自然美,機械美,人格美などが対象となり,自然美の考察は東洋に多い。なお美学という日本語は 82年の中江兆民の『維氏美学』に始る。

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デジタル大辞泉の解説

び‐がく【美学】

aesthetics
美の本質、美的価値、美意識、美的現象などについて考察する学問。
美しさに関する独特の考え方や趣味。「男の美学

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百科事典マイペディアの解説

美学【びがく】

美と芸術の原理と諸相を研究する哲学の一分科。英語aestheticsなどの訳。術語としては,バウムガルテンが,ギリシア語に由来するラテン語aestheticaを自著(《美学》1750年,1758年)の表題として用いたのが最初。

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世界大百科事典 第2版の解説

びがく【美学 aesthetics】

美および芸術の原理を問い,これらを体系的に研究する学問で,哲学の一分科に属する。注意すべきは,〈美学〉の語は西欧語Ästhetikなどの訳語として定着した学術語であり,ただちに〈美についての学〉をさす合成語ではないという事実である。Ästhetikへの顧慮は日本では明治初年からみられたが,〈美学〉講座が1899年東京帝国大学文学部に開設,つづいて各大学にも設置されるにつれて美学という呼称も一般化したのである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

美学
びがく
aesthetics英語
sthetikドイツ語
esthtiqueフランス語

字義どおり、美を対象とする、すべての種類の学問的考察をさしていう。美の本質を問い、その原理を究明する形而上(けいじじょう)学としての美学のほかに、さまざまの美的現象を客観的に観察し、これを法則的に記述しようとするところの科学的美学がある。日本語の「美学」はもともとドイツ語のsthetikの訳語で、西周(にしあまね)によって「善美学」とか「佳趣論」などのことばがあてられ、森鴎外(おうがい)はこれを「審美学」と訳した。これは元来、感覚されるもの(アイステトンaistheton、ギリシア語)に関する学問のことで、カントの『純粋理性批判』では、sthetikは語源に従って単なる感性論の意味に用いられている。この語を今日の美学の意味で初めて使用したのは、ライプニッツ‐ウォルフ学派のバウムガルテンであって、彼は、これまで理性的認識に比し低級視されていた感性的認識の学を哲学の一部門として樹立し、これにエステティカaesthetica(ラテン語)という名称を与えた。しかも、美とは感性的認識の完全なものにほかならないから、感性的認識の学は同時に美の学であると考えた。ここに近代美学の方向が切り開かれたのである。
 古典美学はあくまで美の本質を問う形而上学で、プラトンにおけるように、永遠に変わらない超感覚的存在としての美の理念を追求した。これに反し、近代美学では、感性的認識によってとらえられる現象としての美、すなわち「美的なもの」das sthetischeが対象とされる。この「美的なもの」は、理念として追求されるような美そのものではなく、あくまでわれわれの意識に映ずる限りの美である。そうした「美的なもの」を追求する近代美学はそこで、美意識論を中心として展開されることになる。
 カントは感性的現象としての美意識を先験主義の立場から基礎づけたが、意識に映ずる単なる現象としての「美的なもの」を探求する方向は当然、経験主義と結び付く。19世紀の後半からは、ドイツ観念論の思弁的美学にかわって、経験的に観察された事例に即して美の理論を構築してゆく傾向が強まってくる。フェヒナーは「下からの美学」を唱え、心理学の立場から美的経験の諸法則を探求しようとする「実験美学」を主張した。今日ではさらに、社会学的方法を美的現象の解明に適用しようとする「社会学的美学」や、分析哲学における言語分析の方法を美学に適用しようとする「分析美学」など、多彩な研究分野が切り開かれつつある。[伊藤勝彦]
『大西克禮著『美学』2巻(1960・弘文堂) ▽井島勉著『美学』(1958・創文社) ▽竹内敏雄著『美学総論』(1979・弘文堂) ▽竹内敏雄編『美学事典』(1961・弘文堂) ▽今道友信編『講座 美学』全5巻(1984~85・東京大学出版会)』

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