日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローレンツの力」の意味・わかりやすい解説
ローレンツの力
ろーれんつのちから
Lorentz's force
電荷が電磁場から受ける力に関する法則で、1895年H・A・ローレンツによって与えられた。場の中に置かれた点電荷は、その電荷eに比例した大きさの力を場から受ける。この力をローレンツの力(ローレンツ力)とよぶ( )。点電荷にローレンツ力を及ぼす場を電磁場という。
ローレンツ力は二つの部分からなっている。第一の部分は、荷電粒子の速度vに依存する。単位電荷に対して働くローレンツ力を考えて、その第一の部分によって電場Eが定義され、第二の部分によって磁束密度Bが定義される。これらの量を用いてローレンツ力は、eE+ev×Bと書き表される。ローレンツ力を与える電磁場の中には、考えている荷電粒子自身によってつくられる電磁場は含まれていない。荷電粒子の大きさが電磁場の波長よりも十分小さく、かつ荷電粒子の速度が光速よりも十分小さい場合には、この荷電粒子が電磁場から受ける力はローレンツ力だけである。そのような場合、電磁場の中の荷電粒子の運動は、運動方程式m(dv/dt)=eE+ev×Bに従う。
[安岡弘志]