電場および磁場中を運動する荷電粒子が受ける力。H.A.ローレンツによって導かれた。電荷の間にはクーロン力が働くが,これは着目する電荷q以外の電荷の分布ρがつくる電場,から,
F=qE ……(1)
の力を受けるものと解釈できる。また電流の間にも力が働くが,これも着目する電流I以外の電流分布iがつくる磁場,から,
F=I×B ……(2)
の力を受けるものと解釈できる。ここでε,μはそれぞれ誘電率,透磁率である。
電荷eが速度vで運動している場合には,evの電流が流れているものとみなせるから,この運動する電荷には,(1)と(2)を合わせた,
F=eE+ev×B ……(3)
の力が働くものと考えられる。これをローレンツ力というが,この関係は,あらゆる荷電粒子の実験から確かめられている。この式に現れるEやBは,もちろんそれがつくりだされている原因は何であってもかまわない。(3)は電子管や加速器の中,あるいはプラズマや固体中で荷電粒子の運動を記述するのに重要な関係式である。なお,F=ev×Bのみをローレンツ力と呼ぶこともある。
執筆者:清水 忠雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…電荷qが磁場(磁束密度B)中を速度vで運動しているときは磁場からも力を受ける。これがローレンツ力でvとBとのベクトル積を用いてqv×Bと表すことができる。同様の力を磁場中の電流要素も受ける。…
…近接作用の観点から電磁気学の中心問題を述べれば,(1)電荷や電流は周囲の空間にいかなる電場,磁場をつくるか,(2)電場,磁場は電荷や電流にいかなる力を及ぼすかということである。
[ローレンツ力]
まず上の(2)の答えは,ローレンツ力により与えられる。ある場所の電場をE,磁束密度をBとすると,そこに静止している電荷qの粒子には力qEが働く。…
…
[磁界型レンズ]
磁界に加速された電子がある角度で入ったとすると,磁界の中を飛ぶ電子には力が作用する。この力はローレンツ力と呼ばれ,フレミングの左手の法則に従う。磁界に入った電子の運動方向を磁界に直交するものと,平行するものとの二つの成分に分けて考えてみると,磁界に直交するものは,円偏向を受け,円軌道をとり,もとのところに戻ってくる。…
※「ローレンツ力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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