運動(読み)うんどう(英語表記)motion

翻訳|motion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

運動
うんどう
motion

物体の位置が時間とともに変化すること。物体の運動を表わすには,物体の各点の位置を時間の関数として与えればよい。物体の任意の運動は,その各点が代表点と平行に動く並進運動と,その代表点のまわりの回転運動との合成運動とみなせる。運動はもともと基準体に対する相対運動だけに意味があり,特定の基準体に対する絶対運動は考えられない。古典力学によれば,ある時刻における物体の各点の位置と速度がわかれば,ニュートンの運動方程式によって,その後の物体の運動の様子が完全に定まる。

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デジタル大辞泉の解説

うん‐どう【運動】

[名](スル)
物が動くこと。物体が時間の経過とともに空間的位置を変えること。「振り子の運動」「天体運動」⇔静止
からだを鍛え、健康を保つために身体を動かすこと。スポーツ。「肥満防止のために運動する」「運動競技」
ある目的を達するために活動したり、各方面に働きかけること。「選挙運動」「労働運動」「委員になるため運動する」
物事の状態が、時とともに変わること。
「彼の西洋の文明も今正(まさ)に―の中に在て日に月に改進するものなれば」〈福沢文明論之概略
生物体が能動的に起こす動き。動物の筋肉運動鞭毛(べんもう)運動、植物の膨圧運動など。

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世界大百科事典 第2版の解説

うんどう【運動 motion】

運動という概念を最も広くとるとき,それは,この世界におけるいっさいの〈変化〉を指すと考えられる。そしてこのような世界の〈変化〉一般を論ずるという意味でなら,中国,インドその他の古代文化圏にも,運動論はあった。むしろ,形而上学のみならず,魔術や呪術的世界観さえ,運動を論ずるものであったと見ることができる。
【運動観の歩み】
 古代中国の形而上学体系として知られる《易経》は,もともと〈易〉の文字がトカゲ,あるいはヤモリをかたどった文字であるともされることからも明らかなように,(体色の)〈変化〉の象徴であり,結局は〈変化の学問〉を意味したし,それはのちに陰陽,五行,太極などの概念と結びついて,万物の起源たる唯一者〈太極〉からさまざまな物質や現象が生み出されて,世界となるための〈変化〉の原理を説明する,独特の運動論を構成したといってよい。

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大辞林 第三版の解説

うんどう【運動】

( 名 ) スル
物体が、時間の経過とともに空間内の位置を変える現象。 ⇔ 静止 「分子の-」
健康や楽しみのために体を動かすこと。
体操や競技などをすること。スポーツ。 「何か-してますか」 「 -選手」
ぶらぶらと歩くこと。散歩。 「 -に便宜なる場所とも見えねば/当世書生気質 逍遥
目的を達成するために積極的に行動すること。 「学生-」 「緑化-」 「選挙-をする」
物がめぐり動くこと。また、物事の状態が時とともに変化すること。 〔漢籍では「めぐり動く」の意。明治初期に「身体を動かす」の意として一般化。「明六雑誌」三九号(1875年)にある。英語 movement の訳語として「和訳字彙」(1888年)に載る〕

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精選版 日本国語大辞典の解説

うん‐どう【運動】

〘名〙
① 物があちこち巡り動くこと。物体が時間の経過とともにその位置を変えること。
※禅竹伝書‐六輪一露之記注(1456)「天輪日夜に運動して、〈略〉しばしも止まず巡り動ずる心なり」
※それから(1909)〈夏目漱石〉五「独楽(こま)の運動(ウンドウ)を吟味する為に」 〔董仲舒‐雨雹対〕
② 物事の状態が、時とともに変わって行くこと。
文明論概略(1875)〈福沢諭吉〉緒言「彼の西洋文明も今正に運動の中に在て日に月に改進するものなれば」
③ 健康保持などの目的で、体を動かすこと。
(イ) 手足など身体を動かすこと。「運動する」の形で他動詞としても用いた。
※養生訓(1713)三「時にしたがひ、身を運動し」
(ロ) 散歩すること。ぶらぶら歩くこと。
※歌舞伎・川中島東都錦絵(1876)二幕「『満腹いたした』『どれ運動(ウンドウ)を』『いたさうか』」
(ハ) 体操や競技などで、継続的に手足を動かすこと。運動競技。スポーツ。
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一「鬼ごっこでもはじめやうか。〈略〉運動(ウンドウ)になっていいぜ」
④ ある目的を達するために、いろいろな方面に働きかけること。「政治運動」「学生運動」「就職運動」
※経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉後「乱民の運動を支配する中心は」
⑤ 地形、敵の陣地、敵の動きに応じ、我が有利になるよう、軍隊や兵が移動すること。〔五国対照兵語字書(1881)〕
⑥ 機械などを動かすこと。
※米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一「当府新発明の消防器械を運動し示せり」
[語誌](1)③の意味は衛生思想の普及とともに一般的にも用いられるようになったものと考えられる。
(2)④については、「明治東京逸聞史〈森銑三〉」に、明治二七年(一八九四)三月一七日の「東京経済新聞」の記事として「運動という言葉は、体を動かすこととして、明治七、八年から行なわれ始めたのが、近ごろでは一変して運動費だの示威運動だの、猛運動だのと用いられる」が引かれている。

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世界大百科事典内の運動の言及

【合同変換】より

…平面上の各点をその平面上の点にうつす写像によって,任意の2点間の距離が不変に保たれるとき,この写像を合同変換,または運動という。平面上の各点を一定の方向に一定の距離だけずらせた点にうつす平行移動(図1),平面上の各点を一定点のまわりに一定角だけ回転した点にうつす回転移動(図2),平面上の各点を一定直線に関して対称な点にうつす折返し(対称移動)(図3)はいずれも平面上の合同変換である。平面上の合同変換によって平面はそれ自身の上に1対1にうつり,図形は位置を変えるだけでその形や大きさを変えない。…

【合同変換】より

…平面上の各点をその平面上の点にうつす写像によって,任意の2点間の距離が不変に保たれるとき,この写像を合同変換,または運動という。平面上の各点を一定の方向に一定の距離だけずらせた点にうつす平行移動(図1),平面上の各点を一定点のまわりに一定角だけ回転した点にうつす回転移動(図2),平面上の各点を一定直線に関して対称な点にうつす折返し(対称移動)(図3)はいずれも平面上の合同変換である。…

【西洋哲学】より

…次いでさらに1000年後のルネサンスと宗教改革の時代に,一方ではギリシアの古典文化復興の流れのなかで,他方ではキリスト教界内部でのプラトン=アウグスティヌス主義復興の動きのなかで再び更新され,西洋の基本的思考様式を規定し近代ヨーロッパ文化形成の青写真となる。たとえば近代哲学の創建者と見られるデカルトにしても,まさしくプラトン=アウグスティヌス主義復興の運動(オラトリオ会)との結びつきのなかでその思想を形成し,超自然的な〈理性〉を原理とする形而上学的思考様式を確立したのである。形而上学自然
【形相(エイドス)と質料(ヒュレ)】
 ギリシア語のエイドスeidosは〈見る〉という意味の動詞エイデナイeidenaiに由来し,イデアideaと同根,〈見られるもの〉〈形〉を意味し,ラテン語ではformaと訳された。…

【物質】より

… こうした近代主義的立場に立って眺めてみると,古代においてこうした物質観に最も近いのはデモクリトスの原子論である。デモクリトスの原子論では,原子は感覚的性質をもたずに,容器としての空間のなかにあって,ひたすら運動をしていると考えられている。アリストテレスでは,真空が否定されたところから容器としての空間概念が存在せず,物質は,基体に熱/冷,湿/乾という四つの性質のうちから対立2項を除く二つの性質を加えることによって,土,水,空気,火の四つの原質が生まれ,その四つの原質の配合が万物を構成する,という物質観のなかで理解されていた。…

※「運動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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