電荷(読み)でんか(英語表記)electric charge

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

電荷
でんか
electric charge

電気現象のもとになる実体で,その量を電気量という。電荷,電気量または電気を同じ意味に用いることもある。電荷を正,負の2種に分類し,それぞれ正電荷負電荷などという。等量の正電荷と負電荷を合せると電荷のない状態となり,これを電気的に中性であるという。逆に,中性の状態から正電荷を分離すると必ず等量の負電荷が現れる。摩擦によって電気を生じるのは,このような分離による。電荷をもった粒子荷電粒子,大きさを無視できる荷電粒子を点電荷という。一般に,閉じた系においては電荷の代数和は一定であるという電荷保存則が成り立つ。電気量は原子的な最小の単位量をもち,この単位量を電気素量あるいは素電荷と呼んで記号 e で表わす。電荷は究極的には素粒子の電荷に帰することができ,電子の電荷は -e ,陽子の電荷は +e である。すべての電荷は電気素量の整数倍であって,微視的な粒子たとえば原子核は電荷 Ze をもつ。 Z はこの原子核の原子番号と呼ばれる整数である。巨視的な電気量が連続的に任意の値をもつようにみえるのは,電気素量がきわめて小さい値 1.6×10-19C だからである。電気素量の 1/3 の電荷をもつ粒子クォークの存在が仮想されていたが,1994年にその存在が実験的に確証された。なお,クォークは素粒子の中でのみ存在するので自然界で観測される最小の電荷は e である。

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百科事典マイペディアの解説

電荷【でんか】

荷電とも。電気現象(電気)の根源となる実体。すべての電気現象は電荷の存在とその運動から起こる。導体や半導体に現れる電荷は電子またはイオンにより,誘電体では誘電分極により見かけの電荷が現れる。電荷の大きさ(電気量ともいう)はそれが生じる電気現象の強さから測られ,実用単位はクーロン。導線に1アンペアの電流が流れるとき,1秒間に通過する電気量が1クーロンである。電荷には正と負があり,必ず電気素量の整数倍になる。
→関連項目固体撮像素子静電気

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素粒子事典の解説

電荷

 物質中を進む荷電粒子は、物質の一部を電離させるが、この電離の量は、荷電粒子の速度と電荷に依存する。速度がわかっておれば、電荷は電離量から求めることができる。ここで測定されるのは電荷の絶対値である。符号は、磁場中で進行方向が変わることからフレミングの左手の法則を用いて求める。崩壊した粒子の場合は、崩壊後の粒子の電荷の和で、これを求めることができる。

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世界大百科事典 第2版の解説

でんか【電荷 electric charge】

電気とほとんど同義語であるが,個々の物体や粒子などがもつ電気を指すときには電荷ということばを用いる。電気には正負の2種類があるので,電荷の量(電気量)は正負の実数で表され,その単位はクーロン(C)である。導線に1Aの電流が流れるとき,1秒間に通過する電気量が1Cである。
[電荷の保存則
 経験によれば,あらゆる物理的,または化学的過程において,それに関与する物体,粒子などの電荷の総和(代数和)は一定に保たれ,過程の前後で増減することはない。

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大辞林 第三版の解説

でんか【電荷】

周囲に電場をつくったり、また運動して磁場をつくったりする、すべての電気現象のもとになるもの。微視的には素粒子のもつ電荷は陽電子の電荷を +e として、0, +e , -e のいずれかである。荷電。電気量。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

電荷
でんか
electric charge

電磁気現象を引き起こす源となる物理的実体で、その電気量は電磁場から受ける作用の大きさおよび発生させる電磁場の強さを規定する物理量で、物質を特徴づける量である。電子の研究によって電荷の素量(電子1個のもつ電気量の絶対値。電気素量)eが発見され、その大きさは
  e=1.602×10-19クーロン
である。陽子の電荷は+e、電子の電荷は-eである。現在観測される限り、この素量の整数倍以外の電荷がみいだされたことはない。素粒子の基本構成要素であるクォークの電荷は、素量の2/3、1/3倍であるが、このような分数電荷をもつクォークが単独でみいだされたことはなく、クォークはハドロン内部に閉じ込められていると考えられている。電荷ということばで電気量を表現することもあるが、これについては厳密な保存則が成り立っている。すなわち電荷は自然になくなることも、増えることもない。これを電荷の保存則という。素粒子の世界では荷電粒子の生成消滅があるが、+eの粒子ができれば同時に-eの粒子ができ、電荷の代数和はつねに保存される。電荷が空間の一点に集中しているとき、点電荷という。[小川修三・植松恒夫]

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世界大百科事典内の電荷の言及

【電気】より

…これに対する解答は,1785‐89年にフランスのC.A.deクーロンによって,逆2乗法則として与えられた(クーロンの法則)。これ以後,与えられた電荷の分布から,その周囲に及ぼされる電気力を計算することが大きな課題となった。この方面でとくに大きな成果をあげたのはS.D.ポアソンである。…

※「電荷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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