ワディ・ファラー遺跡(読み)ワディ・ファラーいせき(その他表記)Wadi Fallah

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワディ・ファラー遺跡」の意味・わかりやすい解説

ワディ・ファラー遺跡
ワディ・ファラーいせき
Wadi Fallah

ナハル・オレンともいう。パレスチナ,カルメル山西麓にある旧石器時代末期~先土器新石器時代の遺跡。 1951年からヘブライ大学などにより調査が行われ,ケバラン,ナトゥフ,先土器新石器時代I,IIの4期の文化層が検出された。遺構としてはナトゥフ期の墓址と II期の住居址群がよく保存されていた。墓址は浅い墓壙群から成り,約 50体の屈葬人骨が発見された。また穴のあいた使い古しの石灰岩製の石臼がほとんどの墓壙の上に置かれてあり,なんらかの標識とされたらしい。 II期の住居址群は斜面上のテラスに造られた4段の平坦部から検出された。いずれも不整な円形で,河原石を積んで壁とし,中央には石組み炉が設けられ,近くに数個の浅いくぼみのある石が置かれていた。このほか女性石像,石皿が出土し,また新たに石斧が出現することなどから,文化内容の変化ととらえられ,食糧生産を始めたのではないかと指摘する考えもある。また各層出土の獣骨のうちガゼルが多数を占めるところから,これを捕獲飼育したとの考えもある。

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