石臼(読み)イシウス

デジタル大辞泉 「石臼」の意味・読み・例文・類語

いし‐うす【石臼】

石でつくったうす。ひきうす。大きなものや重いもののたとえにもいう。

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精選版 日本国語大辞典 「石臼」の意味・読み・例文・類語

いし‐うす【石臼】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 石でつくった臼。物をひき、またはつくのに用いる。ひき臼。転じて、大きいものや重いもの、品のないもののたとえに用いる。〔和玉篇(15C後)〕
    1. 石臼<b>①</b>〈大和耕作絵抄〉
      石臼〈大和耕作絵抄〉
  3. いしうすげい(石臼芸)
    1. [初出の実例]「石うす芸をそしれる事〈略〉世録のものは、石臼にても足りなむ。何事か主用に立べきもしらねばなり。専門の者は、其委くきはめんことこそあらまほしき」(出典:随筆・異説まちまち(1748)二)
  4. 泳げない者。

石臼の語誌

( 1 )木製、土製の挽臼(ひきうす)が籾(もみ)すりに用いられるのに対し、石製の挽臼は主に製粉に使用される。鎌倉時代ごろから普及するようになる。当時のものは小形で、絵の具や薬剤の調製、また製茶などに使われていた。
( 2 )粉挽き臼として庶民の中に定着したのは江戸時代中期以降。従来の搗臼(つきうす)に比べはるかに能率がよく、米麦の製粉の他、そばや豆腐の製造にも用いられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石臼」の意味・わかりやすい解説

石臼(生活)
いしうす

ものを破砕、粉化する石製の道具。中石器時代以来、全世界的に穀物肉類顔料をつぶすためのくぼみの深い石皿として使われる。日本の縄文時代の石臼は、厚みのある石を鉢状に深くくぼませたもので、堅果(けんか)類の粉砕に使われ、中部山岳地方の中期文化特有のものである。古墳時代の石臼は赤色顔料精製に用いたものがある。上臼と下臼が対をなし上臼が回転して磨(す)りつぶす挽臼(ひきうす)は、古代オリエントのロータリーカーンや中国漢代の石磨(せきま)を起源として、日本には奈良時代に伝わり、室町時代から江戸時代にかけて普及し、五穀を粉にする農民の必需品であった。下臼に受け皿のある小型石臼は茶臼とよばれ、室町時代以来、抹茶(まっちゃ)生産に使われた。

[十菱駿武]

『三輪茂雄著『臼』(1978・法政大学出版局)』



石臼(中国地名)
せききゅう / シーチウ

中国、山東(さんとう)省南東部にある街道(行政区画)。日照(にっしょう)市東港(とうこう)区に属する。黄海(こうかい)に面しており、沿岸沿海漁業を中心とする黄海海区の主要漁港である。養殖漁業も発達している。日照の外港でもあり、小麦ラッカセイなどを集散する。北東青島(チンタオ)への航路がある。兗石(えんせき)線(兗州―石臼)の終点。

[駒井正一・編集部 2017年1月19日]

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普及版 字通 「石臼」の読み・字形・画数・意味

【石臼】せききゆう

石うす。

字通「石」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の石臼の言及

【石皿】より

…調整や使用によって平滑になった面をもつ扁平な磨製石器。石臼との区別はあいまいである。磨石(すりいし)や石杵などを用い,粒状もしくは塊状の物質をたたいたり,押しつぶしたり,磨ったりして粉状にする道具。…

【臼】より

…当時,中国では寺が碾磑経営をするのが常であった。碾磑とは石製の挽き臼を意味すると同時に,水車を動力として石臼を動かす小麦製粉工場全体を指す語でもあり,英語のミルmillにそっくり対応する語であった。奈良の東大寺には〈天平のころ,瑪瑙(めのう)輾害が東大寺食堂の厨屋にあり,これは高麗国より貢いだものである。…

【餅花】より

…もともとは粥柱や粥杖(かゆづえ)などに由来し,削掛けの技術の衰えとともにホダレ(穂垂),繭玉,稲の花などに分化発展したものといわれている。餅花の大きな枝にはいっしょに農具や小判,宝船などをかたどっただんごやミカンがつけられることもあり,石臼や米俵を台にして神棚をまつる部屋に立てられる。これとは別に小枝に数個のだんごや餅をつけて屋内外の神々に供えることもある。…

※「石臼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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