改訂新版 世界大百科事典 「ワナメーカー」の意味・わかりやすい解説
ワナメーカー
John Wanamaker
生没年:1838-1922
アメリカの実業家。ペンシルベニア州フィラデルフィアに生まれる。書店員や衣料品セールスマンを経て,1861年義兄ネーサン・ブラウンとの共同出資で紳士物衣料店ブラウン・ワナメーカー商会を開いた。68年にブラウンが死に,翌69年にジョン・ワナメーカー社を設立し,国内最大の紳士物衣料小売店にまで発展させた。75年ペンシルベニア鉄道の貨物置場を購入し,そこで各種専門店を一つ屋根の下に集めた新しい様式の店舗である百貨店事業に着手した。フィラデルフィアでの成功に続き,96年にはニューヨークへ進出。この間彼は,正札販売や積極的な宣伝を展開,今日的な百貨店経営の先駆者として大きな役割を果たした。他方,ハリソン大統領のもと,1889年から93年まで郵政長官を務め,実業家が長官となる緒をつくった。教育や博愛事業にも力を注ぎ,フィラデルフィアYMCAの発展にも大きく寄与した。彼の病没後は,次男のルイスLewis Rodman Wanamaker(1863-1928)が百貨店事業を引き継いだ。
執筆者:日高 千景
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報