アムルブンアルアース(英語表記)`Amr b.al-`Āṣ

改訂新版 世界大百科事典 「アムルブンアルアース」の意味・わかりやすい解説

アムル・ブン・アルアース
`Amr b.al-`Āṣ
生没年:570ころ-663・664

正統カリフ時代ウマイヤ朝時代のエジプト総督メッカではイスラムに敵対していたが,629年,メディナにきて改宗した。633年秋,シリア征服に一部将として参戦した。639年12月,突然エジプトに転戦し,642年にカイロ前身である軍営都市フスタートを建設した。カリフウスマーンに総督を罷免されたが,第1次内乱(656-661)ではムアーウィヤ右腕として活躍し,ウマイヤ朝の創建に貢献してエジプト総督に復帰した。
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世界大百科事典(旧版)内のアムルブンアルアースの言及

【カイロ】より

…その後メソポタミアからの移民によって,南部の東の山がナイル川に迫った要地にバビロンBabylōnの町ができ,やがてそこにローマ人が砦を築き,ビザンティン時代も支配の拠点となった。641年,エジプトに侵入したアラブ軍の将軍アムル・ブン・アルアースはビザンティン軍を破ってこの地を奪い,642年にエジプト総督のための軍営都市(ミスル)フスタートをここに設定した。部族ごとに設営したアラブ軍にはイエメン系の者が多く,ヒジャーズ,シリアのアラブがこれに次ぎ,シリアから随伴したギリシア人やユダヤ教徒の商人などもハムラーとよばれる住区を与えられた。…

【スエズ】より

…ローマ時代にも改修工事が行われて使用されていたが,やがて土砂の堆積によって荒廃してしまった。642年アラブ・イスラム軍の将,アムル・ブン・アルアースがフスタート(現,カイロ)の町を築いたとき,この運河を再開発してフスタートと紅海を結ぶ〈信徒の長の運河(エジプト運河)〉を建設した。スエズ近郊1.6kmに位置するクルズムal‐Qulzumは,この運河の起点として古くから知られていた。…

※「アムルブンアルアース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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