アルカラ大学(読み)アルカラだいがく

大学事典 「アルカラ大学」の解説

アルカラ大学[スペイン]
アルカラだいがく

スペインの首都マドリードから東へ30kmのアルカラ・デ・エナーレス(スペイン)にある公立大学。起源となる大学が誕生したのは1293年,司教座付属学校エストゥディオ・ジェネラーレとしてであり,その後,正式には1499年にシスネロス枢機卿により大学として設立された。聖職者の教育のみならず,官僚養成を目的とするものであった。16~17世紀に最盛期を迎え,エラスムスら国内外の人文主義者が迎えられ,スペイン初の文法書を手掛けたネブリーハ,E.A.deによって『多言語対訳聖書』を刊行。1836年にマドリードに移されたことにより,マドリード・コンプルテンセ大学とその起源を共有する。1977年にアルカラ大学として再建される。大学の建物も含めて所在地であるアルカラ・デ・エナーレスの歴史地区は,1998年に世界遺産(文化遺産)に登録されている。世界初の計画的大学都市であること,アメリカ大陸や他のヨーロッパ諸国の都市モデルになったこと,言語学などの学問の発展に尽くしたことが登録理由となっている。
著者: 安藤万奈

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアルカラ大学の言及

【シスネロス】より

…イサベル女王の死(1504)とフェルナンド王の死(1516)との2度にわたって政治の最高責任者となったおりには,そのつど政治権力の回復を狙う貴族の動きを迅速に封じて王権の優位を守った。1508年に神学の刷新を目指してアルカラ大学を創設,ここにルネサンス期の文人英才を集めて時代に即した学問の振興を助けた。その結果,発明まもない印刷技術を生かして刊行された多国語訳聖書はスペイン人文主義の傑作のひとつとされる。…

※「アルカラ大学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android