改訂新版 世界大百科事典 「アンクティルデュペロン」の意味・わかりやすい解説
アンクティル・デュペロン
Abraham-Hyacinthe Anquetil-Duperron
生没年:1731-1805
18世紀フランスの東洋学者。〈ザンド・アベスター〉〈ウパニシャッド〉をフランス語に訳したことで知られる。パリに生まれ,オランダの神学校でヘブライ語,アラビア語を学んだ。パリ王立図書館でペルシア語を独学している姿をコレージュ・ド・フランス教授クロード・サリエ神父に注目され東洋学者たちの知遇を得た。オックスフォード・ボドリー図書館が各国学者に解読依頼のため送ったサンスクリット写本のコピーに魅せられ,1755年インドのポンディシェリに赴いたが,イギリスとフランスの植民地抗争のためベナレス(ワーラーナシー)に行けず,6年間インドに滞在し古代イラン語を学んで帰国,多くの写本をもたらした。生涯独身で学問に専念し,高潔な人格で学者の誉れと称せられた。
執筆者:松原 秀一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報