イク(ヰク)・つぐなう・うる・うりあるく(漢字)

普及版 字通 の解説


15画

(異体字)
17画

[字音] イク(ヰク)
[字訓] つぐなう・うる・うりあるく

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
金文字形(せい)の省文と貝とに従う。(わざわ)いを救うために貝を提供する意で、贖罪(しよくざい)を原義とする。〔説文六下に「衒(てら)ふなり」とし「貝に從ひ、聲、は古睦、讀みて(ゐく)の(ごと)くす」というが、形も声も確かでない。〔玉〕に「或いは粥(しゆく)・鬻(ゐく)に作る」という。声符としては、(とく)・贖(しよく)・覿(てき)の音に用いる。

[訓義]
1. つぐなう。
2. 贖罪のとき、その贖物を誇称することが多く、それで売りこむことを衒鬻(げんいく)という。鬻ととは通用の字。うる、うりあるく。

[古辞書の訓]
名義抄 ウル・イソク/ ウル 〔字鏡集〕 テラフ・アラソフ・ナカレ

[声系]
・贖・續(続)・竇・讀(読)・黷は、みな声に従い、その声義を承ける字である。

[語系]
jiok、鬻jiukは声近く、通用する。〔荘子、逍遥遊〕「今一にして技を百金に鬻(ひさ)ぐ」、〔楚辞、九思、疾世〕「衒鬻せんと欲するも取る(な)し」のように、いくらか詐欺的要素を含む。〔説文〕に「は衒(てら)ふなり」とあり、売りあるく意である。

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報