インフレ抑制(読み)インフレよくせい(英語表記)anti-inflation policy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インフレ抑制」の意味・わかりやすい解説

インフレ抑制
インフレよくせい
anti-inflation policy

物価上昇を現状程度,またはそれ以下に止めること。水準の維持,下落だけでなく,上昇率を維持,低下させることも含む。インフレ抑制策はインフレの要因,性格に応じて異なり,(1) ディマンドプル・インフレに対しては,金融・財政政策として公定歩合の引き上げ,支払い準備率の引き上げ,予算・財政投融資の引き締め,増税などの総需要抑制,(2) コストプッシュ・インフレに対しては,商品の価格,賃金利潤など生産要素価格の凍結やガイドライン策定といった所得政策,(3) 輸入インフレには,為替切り上げによる輸入物価の下落が妥当,と考えられている。ただし,インフレ対策には経済成長,完全雇用,国際収支のバランスなど他の政策目標との調整が必要であり,目標間のトレードオフの関係 (たとえば 1970年以降のインフレと不況併存) や,インフレの原因を正確に把握することの難しさから,明確な方法がなく,継続的に使えないなどの問題がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android