日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ウィルソン(August Wilson)
うぃるそん
August Wilson
(1945―2005)
アフリカン・アメリカン(黒人)の戯曲家、詩人。ピッツバーグに生まれる。父親は白人であったが両親の離婚で母親のもとで育つ。子供時代から厳しい人種差別に悩む。グラッドストーン高校中退。1963年軍隊に入隊し1年後に除隊。1960年代にはブラック・パワーの活動に参加。「マルカムXたちへ」という詩が『ニグロ・ダイジェスト』に掲載される(1969)。戯曲『マ・レイニーズ・ブラック・ボトム』がブロードウェイで上演され(1984)高く評価される。『ジョー・ターナーの往来』(上演1986)、ピュリッツァー賞を受賞した『フェンス』(1987年度受賞)、『ピアノ・レッスン』(1990年度受賞)、『二列車が走る』(1989)、『七つのギター』(1997)などで南部や奴隷であった過去を忘れず、黒人の遺産を大切にしながら生きるアメリカの黒人を描いた。
[荒このみ]
『桑原文子訳『フェンス』(1997・而立書房)』▽『桑原文子訳『ピアノ・レッスン』(2000・而立書房)』
[参照項目] |