エストニア電子住民(読み)えすとにあでんしじゅうみん(英語表記)e-Residency

知恵蔵 「エストニア電子住民」の解説

エストニア電子住民

バルト三国の一つであるエストニアが、世界で初めて導入した電子居住権(以降 e-Residency)制度による住民を指す。エストニア国民や居住者でなくても、エストニアの電子住民になることができる。エストニアは、1991年に旧ソビエト連邦より独立し、それ以降、国策としてIT化を進めてきた。世界で唯一国政選挙で電子投票が行える国としても知られている。電子住民になるには、e-Residencyの登録サイトで、氏名生年月日、Eメールアドレス、登録する理由などといった必要情報を入力し、顔写真パスポートの写真画像をアップロードし、さらに、クレジットカードで事務手数料100ユーロ(19年9月現在、有効期限は3年間)を支払うなどの申請が必要となる。その後、申請時に登録したEメールアドレスへ、電子IDカードが到着した旨の連絡が来るため、日本のエストニア大使館に受け取りに行く。エストニア電子住民になっても、ビザが取得できるわけではないため、実際にエストニアの居住権を得るわけではないが、エストニアの電子政府のシステムが利用可能であり、エストニア法人の会社設立や、エストニアでのビジネスが可能となる。2019年2月時点でエストニア電子住民の登録者は50,000人を超え、日本からも約2,500人の電子住民が誕生している。

(横田一輝 ICTディレクター/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報