オボー(その他表記)oboo

改訂新版 世界大百科事典 「オボー」の意味・わかりやすい解説

オボー
oboo

山や峠にモンゴル人が土や石を積みあげた構造物。オボ。obo,oboghaとも書き,鄂博と漢音訳される。石や土で円錐形に作った基壇の上部に木枝をさし,その中心に三叉矛や槍を立てる。オボーは複数並べられることもある。モンゴル人はこれに天神地祇が降りて宿るとし(オボー自体を地祇とみる考えもある),毎夏オボー祭を行い,牛馬などの生畜またはその肉,乳製品その他を供え,五畜などの豊饒,息災その他を祈り,オボーのまわりをめぐり,かつ競馬,相撲,弓射を奉納する。この祭りの司祭は近年多くラマ僧だったが,ラマ教弘布以前はシャーマンであった。オボー自体シャマニズム信仰から造られたもので,古く匈奴鮮卑が祭っていた神の憑(よ)る木や林と関係ありとする考えが有力である。彼らも木や林を回って,それを祭ることを行っていた。同種の堆石文化はモンゴルだけでなく,朝鮮,満州(中国東北区),シベリア,中央アジアに広く分布することが指摘され,等しくシャマニズムと関係があると認められている。トルコ語のオバoba(〈家〉の意)もオボーと関係があるとされる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android